Mozilla Flux

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MozillaがWindows向けFirefox 56.0に対し64bit版56.0.1への自動アップデートを提供予定

Windows向けFirefoxの64ビット化は、今、最終段階に差しかかっている。2017年9月28日(米国時間)にFirefox 56.0がリリースされた後、同年10月中には64bit版56.0.1への自動アップデートが提供される(Bug 1274659)。これにより、4GB以上のメモリを搭載した環境ではクラッシュ率が39%も低下するほか、アドレス空間配置のランダム化(ASLR)が強化されてセキュリティも改善される。

2014年9月中旬ころに本格的に開始されたFirefoxの64ビット化は、長らく停滞していたが、2017年3月リリースのFirefox 52でFlash以外のNPAPIプラグインのサポートが廃止されたうえ、Windows XP/Vistaのサポートが延長サポート版(ESR)に移行したことを受けて、一挙に事態が動き始めた。同年4月リリースのFirefox 53では、スタブインストーラから64bit版を選択可能になり(Bug 797208)、同年5月にはWindows上のFirefoxリリース版ユーザーの7%が64bit版を使用するようになった。次いで同年8月リリースのFirefox 55では、スタブインストーラの初期設定が64bit版に変更された(Bug 1340936)。

2017年9月に入って、Firefox Developer Edition 57やFirefox Beta 57では自動アップデートが始まっている。引き続き10月にはリリース版でも自動アップデートが提供されるわけだが、64bit版Windows 7以降を使用し、2048MB超のメモリを搭載している環境であれば対象となる。条件は緩く、Windows上のFirefoxユーザーの大半が64ビット版に移行することになるとみられる。ちなみに、同年7月時点で、Windows上のFirefoxユーザーの約70%が32bit版を使用していたというデータもある。64bit版の自動アップデートの提供が開始されれば、その比率は大きく低下し、遠からず64bit版ユーザーとの逆転現象が起きるだろう。

当面64bit版に移行したくないユーザーはどうすればよいだろうか。Mozillaは2つの方法を用意している。1つは、Firefox/Win64 - MozillaWikiに記載されたレジストリキーを予め設定しておき、アップデートが降ってこないようにするというもの。もう1つは、64bit版Firefox 56.0.1に移行後、32bit版56.0.1をインストールし直すというものだ。Mozillaは、32bit版56.0には自動アップデートを提供するが、32bit版56.0.1にはこれを提供しない。後者の手段は、その差を利用している。*1

64ビット化が完成した後は32bit版のサポート期間が気になるところだが、さすがに現時点で情報はない。64ビット化はChromeが先行しているので、その動向も見ながら決めることになるのだろう。筆者の考えでは、Windows 7の延長サポートが終了する2020年1月14日あたりがそのタイミングにふさわしい。Windows 8.1以降であえて32bit版を選ぶユーザーは、かなりの少数派とみられるからだ。順調にバージョンを重ねていけば、ちょうどそのころFirefox 72がリリースされているはずである。

(17/10/10追記)
Windows向け32bit版「Firefox」の64bit移行が開始へ ~「Firefox」v56.0.1が公開 - 窓の杜で報じられているとおり、64bit版56.0.1へのアップデートが開始された。

*1:なお、MozillaはFirefox ESRに対しては64bit版を強くプッシュすることはなく、ESR 59においても自動アップデートは予定されていない