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Firefox 63に複数タブの選択・操作機能が実装される見込み

Firefox 56まで、複数のタブを選択してそれらをブックマークしたり、選択したタブ以外を閉じたりする操作は、拡張機能を導入することによって実現できていた。だが、Firefox Quantumのリリースに伴い、WebExtensionsベースの拡張機能は本体の操作とシームレスな形では複数タブの選択・操作ができなくなっており、たとえばマルチプルタブハンドラを導入しても、タブバー上のタブを選択することはできず、拡張機能用のパネルを使って擬似的な操作ができるにとどまる。

Firefox 63では、複数タブの選択・操作機能がネイティブに実装され、初期設定で有効化される見通しであり、上記の問題の解消が期待できる(Bug 1474938)。すでにNightlyチャンネルでは有効化済みだ(Bug 1474704)。該当する設定はbrowser.tabs.multiselectで、Bug 1458007がメタバグ、つまり関連する一連のバグの基点となっている。

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複数タブの選択・操作機能

タブの選択にはShiftキーとCtrl/Cmdキーを用いる。Shiftキーで範囲選択、Ctrl/Cmdキーで個別選択という使い分けだが、範囲選択後にShiftキー+Ctrl/Cmdキーを押しながら選択範囲を拡張することもできる(Bug 1473187)。選択したタブは最上部の色が変わるようになっており、アクティブでないタブ上にカーソルをホバーさせた場合であっても、未選択のタブとは区別が可能だ。

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タブの選択とカーソルのホバー

本記事執筆時点で実装済みの操作を列挙しておこう。これらの操作は、タブのコンテキストメニューから項目を選択することによって行えるが、今後はショートカットも実装されていく。

  • 選択したタブを閉じる(Bug 1458022
  • 選択外のタブをすべて閉じる(Bug 1472910
  • 選択したタブをブックマーク(Bug 1458067
  • 選択したタブを再読み込み(Bug 1458061
  • 選択したタブをピン留め・選択したタブのピン留めを外す(Bug 1458060
  • (選択した)タブをミュート・タブのミュートを解除(Bug 1458039
  • (選択したタブを)新しいウィンドウへ移動(Bug 1458049

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タブの複数選択機能の実装により拡張されたコンテキストメニュー

また、近い将来に以下の操作が実装される予定だ。なお、複数タブの選択時に新規タブを開いた場合、選択が解除されるようになる(Bug 1475693)。

  • (選択した)タブを端末へ送信(Bug 1470555
  • 選択したタブをタブバー上のドラッグ&ドロップで移動させる(Bug 1458066
  • 選択したタブをドラッグ&ドロップで別のウィンドウに移動させる(Bug 1458056

複数タブの選択・操作機能がインストールした直後から使えるのは、たとえばChromeに対するアドバンテージとなるだろう。Firefox 56以前の使い勝手を求めるユーザーにとっても朗報と言える。実装される操作も上記で打ち止めというわけではないだろうから、マルチプルタブハンドラが実現していた、「選択したタブをドラッグ&ドロップで既存のブックマークフォルダにまとめてブックマークする」操作も追加される可能性はありそうだ。

(18/08/03追記)
タブバー上のコンテキストメニューの項目が固まってきたようだ。本追記時点の最新スペックは以下のようになっている。

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タブ選択時のコンテキストメニュー(2018年8月2日時点)