Mozilla Flux

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Firefox 61でRetained Display Listsが段階的に有効化

Firefox 61のリリース後、当初は無効となっているRetained Display Lists(以下RDL)という機能が有効化されていく(Bug 1467514)。現在の計画では、リリースの2日後にまず25%のユーザーが対象となる。1週間様子を見てから対象を50%に拡大し、さらに1週間様子を見て100%に引き上げるという。

RDLについては、今年の1月にFirefox QuantumのOff Main Thread Painting(OMTP)とRetained Display Listsについて - Mozilla Fluxで紹介した。再描画の処理を軽減する仕組みであり、余力をJavaScriptの処理やレイアウトの実行、入力イベントへの応答などに回せるので、Webページの応答性が向上する。

Retained Display Lists for improved page performance – Mozilla Hacksによれば、MozillaがFirefox 60 Betaのユーザーを対象に行ったテストの結果、RDLを有効化すると描画処理に要する時間の中央値が、4.5ミリ秒から3ミリ秒へと減少したとのこと。

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〔グラフ〕前半:RDL有効 後半:RDL無効

このように、全体的に見て描画処理に要する時間が3分の2になっただけでなく、16ミリ秒を超える「遅い」描画処理に関しては、ほぼ40%の割合で削減することに成功したという。Firefox 58 Betaの時点ではこの削減割合が「30%近く」にとどまっていたから、その後の改良で効果を増したことがわかる。

今後もRDLは改良が加えられる見込みだ。RDLが効果を発揮できない、ページ全体の再描画を要する場面を早期に検知できるようにするほか、RDLの準備作業にかかる時間も短縮させる。