Mozilla Flux

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Mozilla Add-ons(AMO)がFirefox Quantumの登場に備えてリニューアル予定 新デザインを採用しFirefoxに特化

各種アドオンを掲載するMozilla Add-ons(以下AMO)は、2017年11月2日(米国時間)にデスクトップ版のフロントエンドがリニューアルされる予定だ。具体的には現在モバイル版で採用されているデザインが、デスクトップ版にも適用される。

レスポンシブにも対応した新デザインは、現在パブリックベータの段階にあって誰でも試すことができる。AMOの一般向けページの末尾に「モバイル用サイトを表示」というリンクがあるはずだ。これをクリックするとデザインが切り替わる。戻すときは「通常のデスクトップ版サイトを表示」のリンクをクリックすればよい。なお、個別のアドオンのバージョン履歴のように切り替わらない部分も残っている。

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AMOのレスポンシブな新デザイン

新デザインは配色がFirefox Quantumに合わせたものとなっているほか、トップページに掲載される情報を整理し、個別のアドオンよりもユーザーの用途に着目した選択肢を提示するようになった。技術的にはサーバーサイドでレンダリングされるReactアプリであり、従来のDjangoベースから大きく変化している。

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拡張機能のページは中程に情報を集約

個別の拡張機能のページは2カラム式になった。中心的な情報を右側においてスペースを広く取る一方、その他の情報を左側に集約させている。スクリーンショットが大型化して目立つ位置にあり、拡張機能作者に掲載を促しているとみられる。拡張機能の説明も最初の段落だけが表示され、それ以上はユーザーが「詳しく見る」をクリックしないと出てこない。これも簡潔的確な説明を最初に載せるよう促す狙いだろう。なお、『作者のコメント』欄は見当たらなくなっている。

また、拡張機能をインストールするボタンは切り替え式になった。アドオンマネージャーの〔アドオンを入手〕で採用済みだが、オンにしてインストールすることはもちろん、オフにしてアンインストールすることも可能だ。WebExtensions拡張機能はすべて再起動が不要なので、アンインストールが簡単にできるメリットが際立つ。ただ、ボタンのサイズが小さい点と右端に寄りすぎている点は気になるところだ。

それから、レビューを書かなくても五つ星のレーティングが簡単に行えるようになっている。逆にレビューは、従来のように最新の一部が表示されることもなく、サブページに追いやられた。そのほうがユーザーの声を集めやすいという配慮だと思うが、賛否が分かれそうだ。

ちなみに、リニューアル後もFirefox ESR 52のサポートサイクルが続く2018年6月までは、AMOにおいて旧式アドオンの掲載が継続される。旧式アドオンは最大バージョンが56.*となっているが、バージョン別の互換性フィルタが初期設定で無効化されているため、Firefox Quantumのリリース後もただちにWebExtensions未対応の拡張機能が探せなくなるわけではない。もっとも、WebExtensionsベースの拡張機能が検索の上位に表示されるような調整は施されているようだ。

AMOのリニューアルにあたってもう1つ大きな変化がある。それは、Firefox向け(デスクトップ版・Android版)への特化だ。Thunderbird/SeaMonkey向けのアドオンはAMOから切り離され、コミュニティベースで管理することになる。Thunderbirdであれば、Thunderbird Councilが管理を担当する。当面はMozillaがインフラを提供し、AMOから新サイトにリダイレクトされるものの、たとえばレビューチームは自分たちで組まなければならない。インフラの運用についても同様だ。

スケジュールによれば、リダイレクトの開始は2017年11月10日がデッドラインとなっているが、その後11月2日のAMOリニューアルが決定されたため、リダイレクトもその日だろう。リダイレクト後は引継ぎ期間に移行し、2017年12月22日までに、Thunderbird向けアドオンを掲載する新サイトはThunderbird Councilが管理と運用を行う形となる。

以上のとおり、今回のAMOのリニューアルは根本的な変革だ。Firefoxの歴史にとってFirefox Quantumが重要なものとなるように、11月2日のリニューアルもAMOの歴史に深く刻まれることになるだろう。他方で、ユーザーは当初かなり戸惑うことになると思われる。フィードバック次第では、デザインの一部に修正が加えられる可能性もありそうだ。

(17/11/03追記)
予定通りAMOのリニューアルが実施された。開発には1年半以上を要したとのこと。表示速度の向上も大きなアピールポイントのようだ。

(17/11/05追記)
Mozilla launches redesigned Firefox Add-ons website - gHacks Tech Newsで、リニューアル後のAMOにおいて利用可能なURLパラメータが紹介されている。以下のパラメータを「&」記号でつなげると検索内容の調整が可能だ。

  • sort=updated, relevance, users, rating, hotness
  • type=extension, persona
  • platform=windows, mac, linux
  • featured=true

(17/11/06追記)
現行のAMOのデザインは、パブリックベータ版からも若干変わっている。個別の拡張機能のページでは、インストール用のボタンについて、切り替え式を廃して大きく目立つものを手の届きやすい場所に置いた。また、拡張機能を評価する欄を上側に移動させたほか、欄と欄の間隔や欄内の文字の配置に余裕をもたせた。今後もユーザーのフィードバックを受けながら調整を続けていくのだろう。

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AMO正式版のデザイン