Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

Weekly Updates 2009-06-22

Mozillaのプロジェクト全体について開発状況を報告し合う会議が毎週開かれている。その報告のまとめがWeekly Updatesだ。2009-06-22版(米国太平洋夏時間:PDT)から注目の内容をピックアップ。

Firefox 3.5

Firefox 3.5は6月最終週のリリースをターゲットにし、出荷するかどうかの判断を24日に行うと報告されている。Fastest Firefoxキャンペーンの締切りが6月28日であることからも、29日のリリースを目指している事実が裏付けられよう。

一方、Firefox 3.5 RC3のビルドに関する動きがある。Shiretoko Nightlyには、RC2 Build 2ができあがってからもいくつか修正が入っており、これらを取り込むものとみられる。

両者をどのように整合させればいいのか、悩ましいところだ。慣例に従えば、最終RCが正式版になるので、RC3をいったん公開することなくいきなり正式版を名乗ることは考えにくい。とはいえ、RC3を挟むなら、出荷の判断を24日にすると報告しているのは何なのかという話になる。ひょっとして、RC2ユーザー向けにRC3をアップデートの形で提供するつもりなのだろうか。

Firefox.next

マルチプロセスに向けた動きが進んでいる。『Firefox.nextでコンテンツとクロームのプロセスを分離』で紹介したように、フェーズ1はクローム(UI部分)から分離されたコンテンツプロセスを走らせることが目標だったが、予定の7月15日よりも早く達成してしまった。コンテンツのプロセスを終了させても、クロームのプロセスが動作し続けるところまで来たのだ。この件は、後日改めて記事にしたい。

製品一般

Thunderbird 3 Beta 3は、新検索エンジン関係の最後のパッチがもうすぐチェックインされる。当初は設定がデフォルトでオフとなるが、これがデフォルトでオンにできるようになって数日が経過した時点で、リリース日が再設定されるそうだ。

Firefox 3.0.12は、コードフリーズが1週間遅れたことに伴い、リリースが7月22日に延期された

その他

Mozilla Add-ons(AMO)関係では、Firefox 3.5に対応したアドオンが81%に。また、作成されたコレクションの数は1万3千にのぼるという。

サポート関係では、SUMO 1.1に15のスクリーンキャストが追加された。1.2へのアップデートも近づいている。

最後に、www.mozilla.comのFirefoxダウンロード用ボタンについて報告があるので、せっかくの機会だから詳しくこの話題に触れておきたい。本件に関しては、マイコミジャーナルの『もっともダウンロード数が多いのは"緑色" - Firefox分析』が言及済みだが、原記事『Firefox is Green』(Blog of Metrics)の意図を正しく伝えていないと感じる。

そもそも、現行のダウンロードボタンの色は緑色である。以前からいわば標準色だったもので、最近になって統一されたわけではない。Firefox 3.5のBeta版などでは、区別するためにあえて濃いオレンジ色のボタンを使っているにすぎない。今回、Firefox 3.5正式版のリリースにあたって、この標準色を緑色から変更するかどうかが問題になり、実地テストが行われた。

その際、テスト色(青・紫・オレンジ)に関してはランダムに表示するよう設定されたのだが、標準色(緑)と同じ時間表示させたとは述べられていない点に注意が必要だ。むしろ、テスト色がそれぞれ約25万ほどの訪問数であるのに、緑だけは93万以上となっており、ユーザーの目に触れた時間に違いがあることは明らかといえる。前記『もっともダウンロード数〜』の文章だと、標準色のときだけ訪問数が急増したように読めるが、決してそうではない。

また、ボタンの色は「1週間ごとに」変更されたわけではなく、テスト自体の実施期間が1週間だったのである。つまり、この期間、主に表示されていたのは標準の緑のボタンだが、青・紫・オレンジのボタンも表示されており、このテスト用の三色に関しては差を付けない設計になっていたということだ。

最終結果として重要なのは、訪問者のうちどれだけの割合の人がダウンロードしてくれたかである。テストが明らかにしたところによると、標準色の緑が77.3%であったのに対し、テスト色は、最も成績の良かった紫でも76.9%。緑よりも劣っており、色を変える意味がないと判断されたのも当然といえる。

今後は、ボタンのサイズ、形状、ページ内での配置を工夫して、ダウンロード割合の向上を目指すそうだ。