Mozilla Flux

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Vista版Firefoxはメニューバーを自動的に隠すべきか

Firefox 3のデフォルト設定では、起動時にメニューバーが表示される。これは、3.1でも変わらない。他方で、Internet Explorer 7はメニューバーを隠すようになっている。ただし、Altキーで表示のオン・オフを切り替えられる。

IE7がなぜそのような仕組みを採用しているのかといえば、Microsoftが定めた"Top Rules for the Windows Vista User Experience"というガイドラインの中の、"Rule 10: Clean up the UI"に従っているからなのだそうだ。もちろん、メニューバーに代わる機能をユーザーに提供する必要はある。そこで、IE7はドロップダウンメニューを用意した。「ページ」をクリックすると、現在表示しているページに関係する操作のメニューが現れ、「ツール」をクリックすると、Webブラウザ全体に関係する操作のメニューが現れる。

Vista版Firefoxもこのガイドラインに則るべきではないか。そのように考えた開発者のDao Gottwald氏は、手始めに、メニューバーを自動的に隠す機能を加える実験的なパッチを作成した。IE7と同様にAltキーで切り替える形だ。テスト用のビルドも用意されており、Bugzillaだけでなく、本家mozillaZine Forumのスレッドでもフィードバックを集めようとしている。

注意すべきなのは、この動きがGottwald氏の独走ではない点だ。もともと、Firefoxのユーザーインターフェイス(UI)は、デザイナーのAlex Faaborg氏にかなりの決定権がある。そのFaaborg氏が基本的にこの流れに賛成している、というよりむしろ、きっかけを作ったのは同氏のほうなのだ。

Faaborg氏が2月5日付けでmozilla.dev.apps.firefoxに投稿した"Vista theme editorial and late postmortem"を見ると、同氏はVista/Windows 7をMac OS XのようにXP/2000から独立したOSとして扱うべきではないかと主張している。XP向けのデザインから離れ、よりOSネイティブなルック&フィールを提供すべきだというのだ。

実は、この意見に対し、そこまで極端なことをしなくてもVista向けとXP向けにデザインを分けることは可能だと主張したのが、Gottwald氏だ。上で述べたパッチは、その主張を実証するためのものでもあった。

そうした経緯から、Faaborg氏は、mozilla.dev.apps.firefoxの別のスレッドで、Gottwald氏の実験を前提に、IE7の「ページ」や「ツール」に相当するものを、検索バーの右か、ブックマークツールバーの右端に置いてはどうかと発言している。当然ユーザーがカスタマイズしやすいように充分配慮したうえでのことではあるが。

言い忘れていたが、Gottwald氏は、UI関係の開発では実績のあるプログラマーだ。その人物の実験的な試みを、UIデザイナーのFaaborg氏が後押ししているとなると、Firefox 3.2で採用される可能性は決して低くないとみるべきだろう。Bugzilla、mozillaZine Forum、mozilla.dev.apps.firefoxのすべてで一部の開発者兼ユーザーから懸念が表明されてはいるが、これまでも根強い反対意見のあるデザインが採用された例はあった。Firefox 3.1では、ウィンドウが一つのとき、最後のタブを閉じるとプログラムが終了する仕様に変更されたが、その際もかなりもめた。したがって、反対意見があっても、最後は押し切られるかもしれない。