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速報:Firefox.nextのコードネームは「Namoroka」

Firefox.next(Firefox 3.5の次のバージョン)のコードネームが発表された。「Namoroka」といい、マダガスカル共和国にあるナモロカ国立公園にちなんでいる。

Mozilla Wikiで、Namorokaの開発プランを検討するためのドラフト文書も合わせて発表された。それによれば、Namorokaの目標は、項目を挙げると次のようになる。

  • Performance
  • Personalization & Customization
  • Task Based Navigation
  • Web Application Support
  • System Integration

Performanceでは、起動速度やブックマークされたページのロードなどさまざまな場面で、体感可能なレベルでのスピードアップを目指す。アニメーションなど、遅さを「感じさせない」技法も積極的に採用する。

Personalization & Customizationは、Personasの統合と、再起動なしのアドオンインストールが中心となる。加えて、ユーザーの履歴に基づき、新規タブを開く場面や検索の場面などでブラウザの振る舞いを調節する。どうやらAbout:Tabアドオンを強化して搭載するだけでなく、それ以上のものを目指しているようだ。

Task Based Navigationは、「タグ/日付/ソースというメタデータによるWebナビゲーションのサポート」を含むが、これが何を指すのかは不明で、さらに調査したい。他の項目は比較的はっきりしていて、「タブグループの作成・保存・復元」というのは、ブックマークとは異なるタブの管理方法を提案するものだろう。Ubiquityの統合(Taskfox)もこの分野に含まれているほか、ダウンロードマネージャからファイルの削除や移動ができるようにもするという。

Web Application Supportは、Prismとの統合とファイルのアップロード機能の強化(とくにUI)がメインだ。

System Integrationは、Aero Glassを使用した新しいデフォルトテーマを用意することや、Mac OS Xの辞書と統合することを含む。AppleScriptやキーチェーンとの統合も予定。Windows 7では、Aero Peekにも対応する。

これらに加え、「アイデンティティ・ボタン」によってサイト特有のコントロールができるようにするという。

バックエンドでは、XULでUIアニメーションをサポート。CompositorによってUIウィンドウのレイヤー化と切り取りもサポートする。"chrome JIT"は、TraceMonkeyのjit.chromeを改良してデフォルトでオンにするという意味だろう。逆からみれば、Firefox 3.5ではオンにならないことを示すものと受け取れる。"network resource pre-caching"は、データの先読みで、Firefox 3.5ではDNSプリフェッチが搭載されるが、もっと積極的にページデータを取りにいく。サーバーへの負担を考えると、論議を呼びそうだ。

スケジュールについては、"early 2010"が目標とされているが、プロトタイプの作成までに2か月、製品開発に5か月、磨き上げから完成までに3か月とかなり具体的に提案されており、このプロジェクトの開始時期こそが問題だ。Firefox 3.5の開発を続けながらFirefox.next向けの作業を本格的に始められるとは思えないので、スタートを6月と仮定すると、10か月後は2010年4月である。作業に遅れが出なければ、このあたりにリリースされるはずだ。

ドラフト文書の記述とMike Shaver氏のコメントを参照すると、Firefox.nextはα版の期間を長く取り、Beta 1でフィーチャー・コンプリートにする計画のようだ。α版に関しては、毎月リリースして、テスターからフィードバックを集める。大きなUIの変更などは、まずインキュベータ・リポジトリというところでテストしてからTrunkに投入するらしい。

β版は4〜6週間ごとにリリースされるそうだが、これは最後の3か月間を対象にしており、しかもRCも出すから、せいぜいBeta 3までにならざるを得ない。β期間中は、マイナーなUIの変更と既に投入された機能の修正のみが許される。Firefox 3.5ではβ版に新機能が追加されるのは当たり前で、Beta 4に至ってもなお多くの追加を行っているため、これと比較すると開発プロセスを大きく転換するものといえる。ただ、「早めにリリース、しょっちゅうリリース」はオープンソース開発の常道なので、α版を小刻みに出すのはあるべき姿なのかもしれない。

以上だが、ここまでに書いた内容は、あくまでドラフト文書に基づくものであるため、今後変更されることが充分にありうる。注意してお読みいただきたい。