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速報:Firefox 49本体からFirefox Helloが削除

Firefox 49本体からFirefox Helloが削除されたことが判明した(Bug 1287827)。Mozilla plans to remove Hello from Firefox 49 - gHacks Tech Newsで既報だが、該当バグのステータスはRESOLVED FIXEDとなっており、確定事項だ。米国時間の2016年7月19日時点で削除は決定されていたようだが、7月29日の午前3時過ぎまでBugzilla@Mozillaで秘匿指定がされていたため、情報が伏せられていた。

Firefox HelloはWebRTCの技術を利用してブラウザ内でビデオ(音声)通話を行うシステムで、相手方とWebページを共有して議論することに重点を置き、サインインなどの手続きがいらないという特徴を持つ。MozillaはスペインTelefónica社傘下の米TokBox社と提携し、Firefox Helloのプラットフォームとして同社のOpenTokを採用しており、その動作にはプラグインを必要としない。

2014年5月末にNightlyチャンネルでテストが始まり、ある時期までLoopのコード名で呼ばれていた。当初のコンセプトは、クロスプラットフォームな動画チャットアプリであり、ブラウザオンリーでWebRTCが有効なChromeやOperaとも通話できる点に目新しさがあった。デフォルトでツールバーにボタンが置かれるなど、Mozillaが一時期Firefox Helloを強く推していたのは間違いない。ユーザーからのフィードバックを受けて通話プロセスを簡略化したのも、利用を促進したいと思えばこそだ。

Firefox HelloはFirefox 35で正式にリリースされ、アクティブなタブまたはウィンドウの共有機能がFirefox 38.0.5で導入されている。Firefox 39では、ビデオ通話を開始するためのリンクを、本体に統合されたソーシャルサービスを通じて共有できるようになった

もっとも、MozillaはFirefox 45でFirefox Helloのコンセプトを変更した。現在のように「特定のWebページを互いに見ながら動画で通話する」ことを前面に出すようになったのだ。同時に、システムアドオンと呼ばれる特殊な拡張機能として提供されるようになり、アップデートの頻度が本体に縛られなくなった。最近では、マルチプロセス機能(e10s)にも対応し新ブランチも設けられていたので、開発が停滞していたとはいえない。

突然Firefox Helloが削除されることになった理由は、Bugzilla@Mozillaの該当バグを見てもわからず、推測するほかない。昨年からMozillaは、「Great or Dead(成功か死か)」を合い言葉に利用者の少ないプロジェクトを打ち切っており、今回もその一環と考えられる。前記gHacksの記事が指摘するように、同じシステムアドオンであるFlyWeb(クラウドを介さずにスマートフォンと電子機器が相互に接続できる仕組み)に人的リソースを回すつもりなのかもしれない。

削除されたFirefox Helloはどうなるのだろうか。既にある種の拡張機能の形式になっているので、少し手を入れてMozilla Add-ons(AMO)で公開ということも考えられるが、残念ながらその望みは薄い。なぜなら、ベースとなるOpenTokの利用が有償だからだ。Mozillaにとって終わりが見えている機能に対して支出を続けるのは難しい。仮にアドオンとしての存続があるとしても、時限的な措置となるだろう。

(16/08/08追記)
米国時間の8月3日、Firefox 49ベータ版のリリースノートにおいてFirefox Helloの廃止が発表された。これを受けて、Hello のサポートが Firefox 49 で終了します | Firefox ヘルプでは、Firefox Helloの代替サービスを紹介している。