Mozilla Flux

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ダウンロードフォルダ問題

Scene Side Bで既報のとおり、Windows XP/2000版のFirefox 3.2a1preでは、ツールメニューからオプションウィンドウを開き、「一般」を選択すると、[マイ ドキュメント]フォルダ内に"Downloads"というフォルダが作られるようになっている。デフォルトでは「一般」が選択された状態になっているので、通常はオプションウィンドウを開いたら問答無用でフォルダができてしまう。

このパッチ(Bug 475830)が、1.9.1ブランチにもチェックインされた。言い換えれば、Firefox 3.1 Beta 3はこの修正が投入された状態でリリースされる(XP/2000対象)。もちろん、Firefox 3.1正式版にも引き継がれる予定だ。

ユーザーが作成を承諾していないのに、なぜFirefoxが勝手にフォルダを作るのか。実は、XP/2000に標準のダウンロードフォルダが用意されていないことが大きく関係している(Bug 429827参照)。XP/2000では、デフォルトのダウンロードフォルダがデスクトップになる。ところが、ユーザーがダウンロードするファイルは、安全なものばかりとは限らない。マルウェアをインストールする危険な実行ファイルかもしれない。それをデスクトップに置くのでは、ユーザーが誤ってクリックするおそれがあってよくない(Bug 308073参照)。

こうした判断から、Firefoxが独自にダウンロードフォルダを作成する仕様に変更された。当初は、デスクトップに"Downloads"フォルダを置くことになっていたが、ユーザーの気づかないうちに空のフォルダができるのはよくないとの意見が出て、[マイ ドキュメント]フォルダ内に落ち着いた。

論議を呼びそうなのは、ユーザーに選択の余地がない点だろう。ユーザーが最初にオプションウィンドウを開いた時点でダウンロードフォルダを変更しても、"Downloads"フォルダは残る。これをうっとうしく思うユーザーも少なくないはずだ。

かといって、仕様を変更した側の主張にもちゃんとした理由があるのでいまさら撤回は難しい。あとはユーザー体験が多少複雑になるのを覚悟で、Firefoxがユーザーの選択を促すダイアログを出すくらいしか解決策がないように思う。たとえば、最初にオプションウィンドウを開き、「一般」から他の項目に移る際に、メッセージが表れ、デフォルトのダウンロードフォルダがデスクトップになっているので、Firefoxが[マイ ドキュメント]フォルダ内に"Downloads"フォルダを作成する旨知らせる。同じダイアログの中で、ユーザーがダウンロードフォルダを変更したり、新たに作成したりもできるようにする。これなら、フォルダが「勝手に」できるおそれはない。

こうした方向に開発者が動くかどうかは、Firefox 3.1 Beta 3を使ってみたユーザーの反応で決まるだろう。注目しておきたい。

(09/02/02追記)Alice0775氏がフォルダを作成させないようにする拡張機能を公開した
(09/02/04追記)Mac版の状況については、やってMotorsの『Downloads Folder 〜 trunk 記録』を参照。