Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

少数精鋭といえば聞こえはいいけれど

Lightningというアドオンがある。Thunderbirdにカレンダーとスケジュール機能を追加するものだ。Sunbirdの名称で独立したアプリケーションとしても提供されているが、原則としてThunderbird 3に統合される予定で現在開発が進められている。

Mozilla Add-onsによれば、作者は"Mozilla Calendar Project"なのだが、これがどんなグループかについては、Mozilla Messaging社が業務を開始したときのFAQにいちおう記載がある。ちなみに、同社はThunderbirdの開発を担当するMozilla Foundationの子会社だ。

Lightningアドオンは誰が開発しているのですか?

Lightningはコミュニティのプロジェクトで、Sun Microsystemsによる多大な貢献をはじめとして、個人と企業の双方から参加者を集めています。

「大勢の」とは書いていないあたりがミソだ。実は、このプロジェクト、作業の大半をわずか3.75人のメンバーでカバーしている(2008年末時点)。内訳は、開発者2人とQAエンジニア1人がフルタイムで、ビルドエンジニアとUI関係のリーダー各1人がパートタイム(それぞれ50%と25%)。しかも、全員がSun Microsystemsの社員だ。「多大な貢献」どころではない。

既に2008年7月初めの時点で、「基本的に3人だけ」でプロジェクトを回していることは、明らかにされていた。そして、自分たちのしていることをもっと外部に説明して関心を集め、外部開発者を引き入れる必要があるという話になっていた。が、その試みはあまりうまくいかなかったようである。

開発者の手が足りなければ、どうしても作業は遅れがちになる。Lightningはまだ、Thunderbird 3のナイトリービルド(日々の開発版)においてデフォルトでオンにされるに至っていないという。バグが多くて品質が不十分なためだ。

しかし、Lightningの開発チームは、まさにその品質を上げるためにデフォルトでオンにしてほしいと要求している。なにしろQAエンジニアが一人しかいないのだ。多くのユーザーにテストしてもらえれば、どれだけ助かるかわからない。

Lightningというアドオンは着実に改良を重ねてきているし、最新の安定版(0.9)の品質をみても、彼ら開発チームが優秀であることは間違いない。けれど、逆にそうであるがゆえに、苦しいお家事情に気づく人もごく少ないのだろう。

今は本体であるThunderbird 3の開発自体が遅れているので、統合が中止になることはさすがにないと思われるが、次のバージョンでは、この人手不足がいよいよ深刻な問題になってきそうだ。Mozilla Messaging社として正式に人材募集のアナウンスをすべきなのかもしれない。

(09/01/10追記)
Lightning開発チームのリーダーが交替した。これまでのリーダーは、プロジェクトに残るものの、これまでのようにフルタイムで貢献することはできないようだ。これがチームの実働部隊を減らす措置なのだとすれば、よくない傾向だが、そのあたりは明らかにされていない。