Firefox 56では「オプション」と呼ばれる設定画面(about:preferences)が大幅に変更される。従来8つあったカテゴリーが4つに再編され、これに伴って項目もあちこちに移動しているのだ(Bug 1365133)。2015年5月のFirefox 38で設定画面がタブ化された際も、その基本的な編成は変わることがなかったが、今回は全面的な見直しが行われている。
また、1カテゴリー内の項目数が増えると目当ての設定を探しにくいという問題に対処するため、検索機能も付いた(Bug 1353954)。設定画面を開くと右上のページ内検索ボックスにフォーカスが当たり、ページのスクロールにも検索ボックスは追従する。
どのようにカテゴリーがまとめられ、項目が移動したのか、大まかに見ておこう。Firefox 55までの設定画面は、以下のようなカテゴリーの編成と項目のまとまりになっていた。
- 一般
- 起動
- ダウンロード
- タブグループ
- パフォーマンス
- 検索
- 既定の検索エンジン
- ワンクリック検索エンジン
- コンテンツ
- DRMコンテンツ
- 通知
- ポップアップ
- フォントと配色
- 言語
- プログラム
- プライバシー
- トラッキング(行動追跡)
- 履歴
- ロケーションバー
- セキュリティ
- 一般
- ログイン情報
- Sync
- Firefoxアカウント
- すべての端末を同期する
- 端末名
- 詳細
- 一般
- アクセシビリティ
- ブラウズ
- データの選択
- ネットワーク
- 接続
- キャッシュされたウェブページ
- オフラインウェブページとユーザーデータ
- 更新
- Firefoxの更新
- 次のソフトウェアを自動的に更新する
- 証明書
- 要求
- 一般
これに対し、Firefox 56では次のように変わっている。
- 一般
- 一般
- 起動
- タブグループ
- 言語と外観
- フォントと配色
- 言語
- ファイルとプログラム
- ダウンロード
- プログラム
- デジタル著作権管理(DRM)コンテンツ
- Firefoxの更新
- パフォーマンス
- ブラウズ
- ネットワークプロキシ
- 一般
- 検索
- 既定の検索エンジン
- ワンクリック検索エンジン
- プライバシーとセキュリティ
- ブラウザープライバシー
- フォームとパスワード
- 履歴
- アドレスバー
- キャッシュされたウェブページ
- トラッキング保護
- 許可設定
- Firefoxのデータ収集と利用について
- セキュリティ
- フィッシング保護
- 証明書
- オフラインウェブページとユーザーデータ
- ブラウザープライバシー
- Firefoxアカウント
- Firefoxアカウント
- Sync設定
- 端末名
2つを比べてみると、〔検索〕と〔Sync〕のカテゴリーは改編後もほぼそのまま残っている。そして、〔プライバシー〕と〔セキュリティ〕が統合されている点もわかりやすい。つまり、今回の改編は、残る4カテゴリーを1つにまとめて並べ替えた点が大きい。
仕様書のリリースノートによれば、2017年6月にバージョンが1.3から2に飛んでおり、この時点でデザインが練り直されている。新デザインは「コンテンツ戦略とユーザーテストの結果」に基づいて決定されたという。筆者の理解だと、Mozillaはユーザーの使いやすさに配慮しつつも、アピールしたい箇所はカテゴリーのまま残したのだ。〔プライバシーとセキュリティ〕と並んで、〔検索〕と〔Firefoxアカウント〕が独立のカテゴリーになっている点は興味深い。将来的に項目を追加する予定があるからこそ、あえてそうなっているように思える。
ちなみに、次のFirefox 57の設定画面では、Photonの新UIに合わせてビジュアル面の改修が実施されるほか、設定の一部も変更される。レスポンシブ化により、表示領域が狭いときはカテゴリーがアイコンのみで表示されるようになる点もポイントだ。
(17/11/04追記)
最近公開されたWhat’s new in Firefox Preferences – Firefox User Experience – Mediumでは、「ユーザーテストの結果」が詳しく紹介されている。記事によると、1.〔プライバシー〕と〔セキュリティ〕はまとめるのがよい、2.〔一般〕は必要だが〔詳細〕と同時にあると混乱を招く、3.アドレスバーの表示内容の制御などに関する設定はプライバシー関連と位置づけたほうが理解されやすい、4.〔Sync〕はカテゴリー名としてわかりづらいという知見が得られたそうだ。改編後の設定画面では、これらの知見が反映されていることがわかる。