Mozilla Flux

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Firefoxはシンプルな3D APIを目指す

MozillaのChristopher Blizzard氏がGoogleのO3Dに対してコメントしている(『my thoughts on google’s 3d experiment』)。O3Dは、シェーダベースのローレベルグラフィックAPIであり、Webブラウザの中でインタラクティブな3Dアプリケーションの動作を可能にするものだ。O3Dはプラグインの形で提供される。MozillaもKhronos Groupと共同でブラウザ向け3D APIを開発中だが、Blizzard氏によれば、それはGoogleのO3Dとは設計思想が異なるという。

O3DはCOLLADAフォーマットを利用した高レベルのシーングラフAPIを提供し、コードは巨大であり、APIの内容も複雑だ。これは、ゲームに用いられるような緻密な3Dシーンを作成できるだけの機能を得た代償である。

他方、Mozillaが開発に参加し、Firefox.next(3.5の次のバージョン)で本体への実装を計画している3D APIは、はるかにシンプルなものだという。OpenGL ES 2.0のラッパーとして働き、Firefox 3.5向けにも(プラグインではなく)拡張機能として提供される。HTML5のCanvas要素とともに利用されることを想定しており、Open Video/Audio、CSS、HTML、Canvas 2D/3Dといった他のWeb標準規格の要素とも簡単にミックスできるようにすることが目標だ。

APIをシンプルにしておくことで、将来の変更は容易になり、他の標準規格との相互関係も明確になる。高度なAPIは、JavaScriptに対するjQueryのように、ユーザーが開発したライブラリに委ねたほうがよいという判断のようだ。Blizzard氏は、狙いが違うので棲み分けが可能としつつも、GoogleのO3Dを「SVG + SMIL」に、Mozillaの3D APIを「Canvas」に喩え、その柔軟性や普及度の違いを示唆して、MozillaのAPIが優れていると暗に主張する。

Mozillaの3D APIは、JavaScriptで3Dコンテンツ「も」コントロール可能にするところに重点が置かれている。対するO3Dは、デスクトップアプリケーション並の高度な3DグラフィックをWebブラウザ上で再現することを重視しているように見える。はたして、どちらが的確に開発者のニーズを掴むのだろうか。