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Firefox.nextのサポート対象はXP SP2以降となる見とおし

Firefox.nextはWindows 2000をサポートせず』の続報である。mozilla.dev.planningに数多くの意見が寄せられ、議論が進んだ結果、Michael Connor氏は主張を一部撤回し、Firefox.nextではWindows XP Service Pack 2(SP2)以降をサポートするという新たな提案を出した。ただし、Firefox 3のときと違い、未サポートのOSでもプログラムの動作はブロックしない。

Microsoftのサポート期間だけを捉えると、XP SP2はサポートしつつWindows 2000を切るのは一貫しないようにも見える。しかし、OSのセキュリティという観点からすると、XP SP2のほうがレベルは高いだろう。技術的には、XP SP2でOSのAPIが少なからず変更されたため、SP1以前とでは差があるのに対し、SP3との差は小さい。つまりGecko 1.9.2の開発やメンテナンスなどにかかる負担は、SP2を含めてもほとんど変わらない。ユーザー数から見ても、さまざまな理由でSP2からSP3にアップデートしていないユーザーは多いらしく、SP1や無印(サービスパックなし)と同列には扱えない。加えて、IE7/8やGoogle Chromeも、XP SP2を最低ラインに定めている。

Connor氏が主張を変えた理由は明言されていないものの、議論の流れからすると、上のような事情が考慮されたものとみられる。まだ開発総責任者のMike Beltzner氏がコメントを出していないが、Mozilla Corporationの技術担当副社長Mike Shaver氏はConnor氏と同じ意見のようであり、このまま議論が決する可能性は高い。

重要なのは、Connor氏が、「現在のプランでは、古いバージョンのWindowsも動作をブロックされることはない」と述べている点である。これだけでは意味をつかみにくいが、話の全体から判断すると、たとえばWindows 2000やXP SP1でもFirefox.nextの動作自体は可能ということだ。ただ、インストーラの扱いがはっきりしない。警告を出すだけなのか、それともインストールを停止するのかは極めて重要で、もし後者なら、自分でソースコードからビルドするか、あるいは私家版ビルドを使うことになり、ほとんどのユーザーにとってはそのOS上で動作しないのと変わらなくなってしまう。

これに関連して、Connor氏は、「サポートしない」とは次のような意味だとしている。

  • tinderboxのカバーなし
  • QAのカバーなし
  • ユニットテストとTalosのパフォーマンスのカバーなし
  • これらのプラットフォームにのみ影響するバグは、1.9.2以降ではBlockerとして扱わない
  • サポートされたOSのバージョンで妥協しない利害関係者からの修正は受け入れる

要するに、サポート対象外のOSでMozillaが公式のビルドを作成することはなく、動作テストは、自動化されたものも、手動のものも一切行わない。それらのOSに特有のバグが発生した場合、Mozillaが積極的に修正することはなく、それでは困るという人からの修正を消極的に受け入れるだけという趣旨である。

インストールできなくするとは述べていない点を重視するなら、インストーラは警告を出すだけにとどまると考えられよう。他方で、実際に警告だけでどれほどの効果があるかという問題もある。「そのOSはサポートしていないから特有のバグには対応しない」と言ったところで、ユーザーの納得が得られるかは別だ。コストを考えると、インストールを停止するほうがずっと楽だ。

帰趨がどうなるか、引き続き議論のゆくえに注目したい。