Mozilla Flux

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「スクショ」を通じたページの共有を促すFirefox Screenshots

Firefox 55にはシステムアドオンの形式で新しいスクリーンショット機能が提供されており、その名をFirefox Screenshotsという。窓の杜の記事「『Firefox 55』で追加されたスクリーンショット機能が便利! ~有効化する方法を紹介」で取り上げられていたので、ご存じの方も多いだろう。この機能は段階的に有効化されるユーザーが増加する仕組みとなっていて、米国時間の2017年8月21日から23日までが1%、24日から29日までが10%、30日が100%というスケジュールで増えていく。つまり、今月末には全ユーザーを対象として、初期設定でFirefox Screenshotsが有効化される。

(17/09/07追記)
Firefox Screenshotsの全面的な有効化はFirefox 56に持ち越された。最新の計画によると、有効化されるユーザーの割合は、9月6日に12.5%、9月13日に25%、9月20日に50%となる。

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以前からFirefoxの開発ツールにはWebページ全体のスクリーンショットを撮影する機能が含まれてきた。また、スクリーンショットを撮れるようにする拡張機能は定番の1つなので、Add-ons for Firefoxを探せば好みのものを見つけるのは難しくない。それでもあえて今、Mozillaがスクリーンショット機能、しかもオンラインを前提にし、選択範囲の撮影に特化したものを本体に追加したのはなぜだろうか。

結論を先に言えば、ユーザーによるWebページの共有促進がFirefox Screenshotsの主な目的だ。スクリーンショットの撮影はそのための手段に過ぎない。これは「スクショ」をページのシェアに使うライトユーザー向けのツールなのである。

Firefox Screenshotsの狙いは、GitHubのIssue #1で確認できる。2014年12月15日に立てられた最初のイシューで、同機能のTech Leadを現在務めるIan Bicking氏は、Webページを共有する方法を改善したいと述べている。最初期にはページを(装飾抜きで)そのままMozillaのサーバ上に保存するというコンセプトが示され、簡易版Evernoteのような感じだったが、Mozilla UXチームの調査結果を踏まえて方針が転換されることになった。

Mozilla UXチームが2015年1月に実施した調査によれば、コンテンツを保存・共有・管理するツールとしてPocketやEvernoteを使う人は少数派であり、多数の人はもっと基本的なツールであるメール、ローカルストレージ、テキストメッセージ、スクリーンショットなどを使用しているが、そうした人は自分が使っているツールに満足していない。ここから分かるのは、Evernote側に寄せるとユーザーが慣れていないので、敷居が高くなるということだ。そこで、同年4月までにはスクリーンショットをサーバ上に保存して共有する今のスタイルに落ち着いた。"PageShot"の名称もこのころから用いられている。

コンセプトは固まったものの、開発チームは少数であり、実際の形になるまでかなりの時間がかかった。Test Pilotの1プロジェクトとして"Page Shot"が公開されたときには、2016年9月も終わろうとしていた。Test Pilotでの実験期間も長く、2017年7月13日まで続けられた。それだけ試行錯誤したわけだ。

Page ShotはFirefox本体に搭載されるにあたってFirefox Screenshotsへと名称が変更され、Nightlyチャンネルには2017年5月下旬に投入されている。そのころの様子はFirefox Screenshots integrated in Firefox Nightly - gHacks Tech Newsに詳しいが、現在のバージョンとは違って、フルページや表示領域全体のスクリーンショットを撮影する機能もあった。

現行のFirefox ScreenshotsはTest Pilot版とも若干違っている。Page Shotで以下のように特筆されていた機能のうち、スマート検索は見当たらなくなっている。

  • グリッド表示: 保存されたスクリーンショットのサムネイルを閲覧
  • スマート検索: 探しているスクリーンショットをキーワードで見つけ出せます。Page Shotはページタイトルやスクリーンショット内の文字をインデックスします
  • ワンステップ共有: ブラウザーウィンドウ上部から直接、スクリーンショットをソーシャルメディアへ投稿したり、共有可能なリンクをコピーしたりできます

いったん実装されたが後に削られた機能は、ページの保存や管理にとっては有用だが、ページの共有にとってはそれほど有用でないものであったと考えられる。たくさん選択肢があるとその分わかりづらくなってしまう。ライトユーザーの使いやすさを優先し、本当に必要な機能だけに絞り込んだのが現行版というわけだ。

こうしたコンセプトや経緯を知ったうえで眺めてみると、1.スクリーンショットのタイトルにページのタイトルを用いていること、2.SNSやメールでスクリーンショットを共有する機能があること、3.共有リンクにアクセスすれば誰でもスクリーンショットを見られること、4.撮影時に共有リンクがクリップボードにコピーされることといった仕様が、すべて意味のあるものだとわかるだろう。どれもシェアを後押ししている。そして、Snapchatほど極端ではないにせよ、シェアという目的を果たしさえすれば、古いスクショを残しておく必要はない。だからこそ、その保存期間は初期設定で14日に設定されているのだ。

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