Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

旧バージョンのFirefoxユーザー向けにアップデートをプッシュ

Firefoxに高速リリースサイクルが適用されるようになってから、既にそれなりの期間が経過しているが、バージョンアップのたびごとに一部のユーザーが取り残されている。Mozillaの調査によると、その割合は1サイクルごとに2%に達するという。もちろん、意図的にアップデートしない設定にしている場合もあるが、上記調査などから、ユーザーが自動アップデートの設定を変更していないのに、なぜかアップデートできない事態が起きていることが判明している。この場合、ユーザーは不便なだけでなく、セキュリティ上のリスクも負うことになる。

そこで、Mozillaは、Windows版Firefox 10から28までのユーザー(OSがXP SP2以降。ESR 24は除く)を対象に、別ルートでアップデートを提供することにした(Bug 1014194)。別ルートの名称を、「add-on hotfix(アドオン・ホットフィックス)」という。これは、MozillaがユーザーのFirefoxに再起動不要の特殊なアドオンを送信し、インストールされたアドオンが特定の働きをするというもので、Firefox 10(最初のESRのベース)で実装された仕組みだ。アドオンの電子署名を本体がチェックするので、セキュリティも確保されている。

仕様書によれば、今回提供されるホットフィックスは、自動的にバックグラウンドで最新版のFirefoxインストーラをダウンロードする。ただし、ユーザーが本体の更新の確認を行わない設定にしている場合、その設定が尊重される。Firefoxの起動中に正しくダウンロードできたことが検証されたら、インストーラが起動する。このとき、Windows Vista以降であればユーザーアカウント制御(UAC)のプロンプトが表示されるだろう。

インストールが試みられたものの完了しなかった場合、about:homeのページに吹き出し型の通知が表示される。通知は、新しいFirefoxを利用する準備ができている旨を伝えるもので、ユーザーが今すぐ使うことを選択すれば、インストーラが起動する。後で使うことを選択した場合、通知はその後も最大で1日1回表示されることになる。

以上のプロセスを通じてFirefoxが最新版にアップデートされると、ホットフィックス・アドオンは自動的に削除される。また、ユーザーがアドオンマネージャから削除することも可能だ。

もともと本体の設定を変更したり、認証局を外したりすることを想定して作られた仕組みを、本体のアップデートに用いるという面白い試みだが、事前の告知なしにインストーラが起動するのはインパクトが強い。ユーザーの反発を買うおそれすらあるが、よりマイルドな方法を選択しなかったのは、バージョンごとにユーザーが分断されることに対する、Mozillaの危機感ゆえか。ちなみに、Windows版で成功した場合、Mac版のユーザーにも同様のホットフィックスを提供するらしい。

ホットフィックスの提供開始は、米国時間の2014年7月16日からとなっている。今後の経過に要注目である。