Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

今週のMeeting要旨 090710版

今週開かれた開発者ミーティングから、注目の情報を選んで掲載。日時はすべて米国太平洋夏時間(PDT)が基準で、日本時間とはずれる。

Firefox Product Delivery Meeting(2009-07-08実施)

Firefox.next関係では、Firefox Sprintsが拡大継続中である。PlacesのUIの全面見直しやJetpackの本体への統合など、重要な変更も予定されており、今後も目が離せない。

Firefox 3.5のサポート関係で問題になった点を挙げておこう。一つはアドオンの互換性。もう一つは初回起動にかなり長い時間がかかるというもので、IEやWindowsのテンポラリファイルフォルダにファイルが多いとそうなるらしい(Bug 501605)。詳細はMozilla Links日本語版『Windows で Firefox 3.5の起動が遅くなる問題の回避策』を参照。

さらに、ブックマークやパスワード情報がうまくインポートされないケースもある。加えて、ユーザーインターフェイスが変更された影響も出ている。たとえば、最後のタブを閉じるとウィンドウも閉じる仕様。開発時に揉めたが、リリース後も元に戻すべきとの声が出ている。あと、キャッシュやクッキーを消す方法が分からない人もけっこういるようだ。

アドオンの互換性はFirefox 3.5対応のものが91%に。コレクションの数も1万9千を超えた。

Firefox 3.0.12は2週間以内のリリースとなっているので、7月21日の予定どおりだろう。また、3.0.13は、9月1日のリリースが目標だ。

Development Meeting(2009-07-07実施)

Firefox 3.5.1は来週早々にもビルドするとしており、7月第4週リリースの線が濃厚になってきた。クラッシュ報告の多いバグを潰し、セキュリティと安定性を高めるが、小規模な修正にとどめて迅速な提供を目指す。とはいえ、Mozillaは、3.5正式版の品質が低かったわけではないとしている。

Firefox 3.6 Alpha 1は、暫定的ではあるが7月21日をコードフリーズ日とする。おそらくFirefox.nextは、ひとまずFirefox 3.6と呼ばれることになるのだろう。

そのFirefox.nextについて、グラフィックスチームは、Decode-on-draw(Bug 435296)に取り組んでいる。描画中もcairo surfaceをimagelibに送る仕組みという。

コンテンツチームはJetPackのセキュリティモデルを調査し始めた。本体の開発チームが動いているのは、本体への統合を予定しているからと考えるのが自然だ。

JavaScriptチームは、Bug 200505を修正したことで、ベンチマークの一部においてかなりパフォーマンスが良くなったとしている。

なお、ElectrolysisプロジェクトもフェーズIを完了した。

このように、さまざまな新機能が開発されてはいるが、Gecko 1.9.2はFennec 1.0正式版のベースになる見通しで、そうなると安定性も非常に重要になってくる。そこで、今後数ヶ月はTrunkを安定した状態に保ち、大きなリグレッションを生じる修正は、バックアウトするか、あるいはフォローの修正を加えてから行うことになる模様。

あと、1.9.1のナイトリービルドを使用中のユーザーに対し、Trunkのナイトリービルドへのメジャーアップデートを提供することを検討中だという。

Thunderbird Status Meeting(2009-07-07実施)

Thunderbird 3 Beta 3はコードフリーズが7月14日なので、もうすぐだ。これを書いている時点でBlockerバグは8個となっているから、間に合いそうな雰囲気ではある。

Beta 4とRC1のスケジュールは、今週から検討が始まるとのこと。

正式版で一つ問題なのが、どのバージョンのGeckoを使うかだと報告されている。Meeting要旨の記述は曖昧だが、どうやらGecko 1.9.2を取り込むかどうかの悩みらしい。今のところ有力なのは、Firefox 3.5と同じくGecko 1.9.1をThunderbird 3のベースに利用するが、Thunderbird 3.xでGecko 1.9.2に乗り換えるプランである。

あと、Thunderbird 3のアイコンだが、最初の改訂草案が出た(『New Thunderbird Icon: Iteration 1』)。