Mozilla Flux

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Mozilla Add-ons(AMO)がFirefox Quantumの登場に備えてリニューアル予定 新デザインを採用しFirefoxに特化

各種アドオンを掲載するMozilla Add-ons(以下AMO)は、2017年11月2日(米国時間)にデスクトップ版のフロントエンドがリニューアルされる予定だ。具体的には現在モバイル版で採用されているデザインが、デスクトップ版にも適用される。

レスポンシブにも対応した新デザインは、現在パブリックベータの段階にあって誰でも試すことができる。AMOの一般向けページの末尾に「モバイル用サイトを表示」というリンクがあるはずだ。これをクリックするとデザインが切り替わる。戻すときは「通常のデスクトップ版サイトを表示」のリンクをクリックすればよい。なお、個別のアドオンのバージョン履歴のように切り替わらない部分も残っている。

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AMOのレスポンシブな新デザイン

新デザインは配色がFirefox Quantumに合わせたものとなっているほか、トップページに掲載される情報を整理し、個別のアドオンよりもユーザーの用途に着目した選択肢を提示するようになった。技術的にはサーバーサイドでレンダリングされるReactアプリであり、従来のDjangoベースから大きく変化している。

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拡張機能のページは中程に情報を集約

個別の拡張機能のページは2カラム式になった。中心的な情報を右側においてスペースを広く取る一方、その他の情報を左側に集約させている。スクリーンショットが大型化して目立つ位置にあり、拡張機能作者に掲載を促しているとみられる。拡張機能の説明も最初の段落だけが表示され、それ以上はユーザーが「詳しく見る」をクリックしないと出てこない。これも簡潔的確な説明を最初に載せるよう促す狙いだろう。なお、『作者のコメント』欄は見当たらなくなっている。

また、拡張機能をインストールするボタンは切り替え式になった。アドオンマネージャーの〔アドオンを入手〕で採用済みだが、オンにしてインストールすることはもちろん、オフにしてアンインストールすることも可能だ。WebExtensions拡張機能はすべて再起動が不要なので、アンインストールが簡単にできるメリットが際立つ。ただ、ボタンのサイズが小さい点と右端に寄りすぎている点は気になるところだ。

それから、レビューを書かなくても五つ星のレーティングが簡単に行えるようになっている。逆にレビューは、従来のように最新の一部が表示されることもなく、サブページに追いやられた。そのほうがユーザーの声を集めやすいという配慮だと思うが、賛否が分かれそうだ。

ちなみに、リニューアル後もFirefox ESR 52のサポートサイクルが続く2018年6月までは、AMOにおいて旧式アドオンの掲載が継続される。旧式アドオンは最大バージョンが56.*となっているが、バージョン別の互換性フィルタが初期設定で無効化されているため、Firefox Quantumのリリース後もただちにWebExtensions未対応の拡張機能が探せなくなるわけではない。もっとも、WebExtensionsベースの拡張機能が検索の上位に表示されるような調整は施されているようだ。

AMOのリニューアルにあたってもう1つ大きな変化がある。それは、Firefox向け(デスクトップ版・Android版)への特化だ。Thunderbird/SeaMonkey向けのアドオンはAMOから切り離され、コミュニティベースで管理することになる。Thunderbirdであれば、Thunderbird Councilが管理を担当する。当面はMozillaがインフラを提供し、AMOから新サイトにリダイレクトされるものの、たとえばレビューチームは自分たちで組まなければならない。インフラの運用についても同様だ。

スケジュールによれば、リダイレクトの開始は2017年11月10日がデッドラインとなっているが、その後11月2日のAMOリニューアルが決定されたため、リダイレクトもその日だろう。リダイレクト後は引継ぎ期間に移行し、2017年12月22日までに、Thunderbird向けアドオンを掲載する新サイトはThunderbird Councilが管理と運用を行う形となる。

以上のとおり、今回のAMOのリニューアルは根本的な変革だ。Firefoxの歴史にとってFirefox Quantumが重要なものとなるように、11月2日のリニューアルもAMOの歴史に深く刻まれることになるだろう。他方で、ユーザーは当初かなり戸惑うことになると思われる。フィードバック次第では、デザインの一部に修正が加えられる可能性もありそうだ。

Firefox QuantumでThe Book of Mozillaも新章へ

Firefoxにはその前身であるNetscape Navigatorの時代から、about:mozillaのページに『モジラ書(The Book of Mozilla)』の一節を表示するというイースターエッグがある。文章が更新されるのは開発にとって大きな節目の時期となっており、Firefox Quantumもその節目に選ばれた(Bug 1370613)。つまりFirefox 57のabout:mozillaは、Firefox 56とは内容が違う。

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about:mozillaの11章14節

about:mozillaの履歴は公式サイトに掲載されているが、英語版Wikipediaの"The Book of Mozilla"の記事のほうが、背景の解説など関連情報まで載せてくれていて、はるかにわかりやすい。Firefox Quantumの新しい文章も反映されているなど目配りも利いており、資料的価値は高いといえる。

そのWikipediaの記事にも書かれているとおり、The Book of Mozillaは聖書うちの一書という体裁を強く意識している。いわばオープンソース聖書のようなものがある中で、旧約聖書の『ダニエル書』や新約聖書の『ヨハネの黙示録』のように、『モジラ書』は獣(the beast)が登場する黙示文学なのである。この獣(the beast)は、赤い恐竜のような姿で描かれたマスコットとしてのMozillaをイメージしたもので、炎を吐く存在とされている。

The Book of Mozillaの初出は、1995年のNetscape Navigator 1.1である。以後Netscape Communicator 4.xまで、「12章10節」が掲載された。この章と節は記念となる出来事の月日を反映していて、12章10節というのも1994年12月10日にNetscape Navigator 1.0がリリースされたことを踏まえている。その文章を私訳とともに紹介しよう。

And the beast shall come forth surrounded by a roiling cloud of vengeance. The house of the unbelievers shall be razed and they shall be scorched to the earth. Their tags shall blink until the end of days.

獣は復讐に燃える群衆に囲まれて現れるであろう。不信仰者らの住処は打ち壊され、焦土と化す。彼らの印は世の終わりまで明滅することとなる。

ここでいう「不信仰者」は、Web標準に従わない人々を指す。Netscape 3までは内蔵のHTMLビューワでソースを見ると、誤ったタグ(印)が明滅する仕様になっていたことが、巧みに文章に盛り込まれている。

次の節目は、Netscapeのコードがオープンソース化された1998年3月31日だ。同年5月には早くもabout:mozillaの「3章31節(赤文字版)」が出来上がったものの、Mozillaのコードが書き換えられていく中でいったん失われた。2000年2月に復活し、Netscape 6から7.1に掲載されたのが次の文章である。

And the beast shall be made legion. Its numbers shall be increased a thousand thousand fold. The din of a million keyboards like unto a great storm shall cover the earth, and the followers of Mammon shall tremble.

獣は大群となり、その数は千の千倍にも増える。無数のキーボードを打ち鳴らす音が大いなる嵐の如くなりて地を覆い、強欲の化身を奉ずる者らは打ち震えるであろう。

ここで初めてマモン(Mammon)という言葉が出てくる。富を擬人化した存在で、悪魔学では強欲を司る悪魔とされているが、文章内ではMicrosoftの暗喩として用いられている。一神教の世界観なので書き手がマモンを「神」と呼ぶことはないが、悪魔と明示されているわけでもないので、訳文では「強欲の化身」とした。

文章に描かれているのは、Internet Explorerの攻勢にいったん破れたNetscapeが、オープンソースとして広く拡散し、反撃を開始する様だ。黙示文学の体裁ではあるが、キーボードという言葉が出てくるのは、宗教的な雰囲気になりすぎるのを避けたかったからだろう。ちなみに、「赤文字版」の赤文字(Red Letter)は「特筆すべき」くらいの意味だが、イエス・キリストの言葉のみ赤文字で書かれた新約聖書というものが存在するらしく、そのことも踏まえた凝ったネーミングになっている。

2003年7月15日、AOLがNetscape部門を閉鎖し、Mozilla Foundationが創設された。しかし、オープンソースであるMozillaのコードベースは存続し、後のFirefox(初期の名前はFirebird)やThunderbirdへと繋がっていく。Mozilla 1.5からFirefox 3.0 Beta 2まで、Thunderbirdの最初のバージョンから2.0.0.24まで、Netscape 7.2から8.1.3までなどに掲載されたのが次の「7章15節」である。

And so at last the beast fell and the unbelievers rejoiced. But all was not lost, for from the ash rose a great bird. The bird gazed down upon the unbelievers and cast fire and thunder upon them. For the beast had been reborn with its strength renewed, and the followers of Mammon cowered in horror.

そのようにして獣はついに倒れ、不信仰者たちは歓喜した。しかし消え去ってはいなかった。その灰より大いなる鳥が蘇ったからである。鳥は不信仰者たちを睥睨し、炎と雷を彼らに浴びせた。獣が力を新たにして生まれ変わったことにより、強欲の化身を奉ずる者らは恐怖に身をすくめた。

Netscape部門の閉鎖でMozillaという獣はいったん倒れたが、Firebird(=フェニックス)として灰より蘇った。文章内ではThunderbirdのイメージとも重なり、炎と雷を操る存在として描かれている。なお、ここで出てくるマモンもMicrosoftの暗喩である。

公式サイトにはないが、Wikipediaの記事には「8章20節」がある。Netscapeがブラウザ部門を再開し、Netscape Navigatorの新バージョンを社内で開発する可能性があることを社内メールで明らかにしたのが、2006年8月20日なのだそうだ。Netscape Navigator 9.0b1から9.0.0.6までに次の文章が掲載された。

And thus the Creator looked upon the beast reborn and saw that it was good.

かくして主は獣の再誕をご覧になり、それを良きものとされた。

Mozillaを作ったNetscapeが開発を再開したのでこうした文章になっているようだが、黙示文学というより旧約聖書『創世記』の天地創造のイメージだ。製品自体がMozillaプロジェクトから外れているだけでなく、about:mozillaの書きぶりとしても「異端」であり、公式サイトに掲載されていないのもそうした理由だと思われる。

MozillaにとってMozilla Foundationの創設に次いで節目となるのは、Firefox 1.0のリリースである。2004年11月9日のリリースを記念して、2008年1月、「11章9節(第10版)」が作られた(Bug 411352)。オープンソース化から10年が経ったので、「第10版」の表記がある。Firefox 3.0 Beta 3から20.0.1までなどに掲載されたのが、次の文章だ。

Mammon slept. And the beast reborn spread over the earth and its numbers grew legion. And they proclaimed the times and sacrificed crops unto the fire, with the cunning of foxes. And they built a new world in their own image as promised by the sacred words, and spoke of the beast with their children. Mammon awoke, and lo! it was naught but a follower.

強欲の化身は眠りについた。獣の生まれ変わりは地に広がり、その数は増えて大群となった。それらは狐の抜け目なさをもって、時が満ちたことを宣言し、収穫物を捧げものとして火にくべた。それらは御言葉において約束されたとおり自らの思い描く新世界を作り上げ、子らに獣のことを語り伝えた。強欲の化身が目覚めたとき、見よ、それはただの模倣者と成り果てていた。

この文章には多くの出来事が盛り込まれている。まず、マモンはMicrosoftを指しており、Internet Explorer 6から7までの開発期間が5年空いたことを指して、眠りについたと表現している。Microsoftが「眠っている」間にいわゆるWeb 2.0の時代になり、「目覚めた」ときにはイノベーターではなくなっていたというわけだ。

一方MozillaはSpread Firefoxというプロモーションサイトを起ち上げ、Mozillaマニフェストを公表し、about:mozillaニュースレターを発行した。FirefoxのサポーターたちはNew York Times紙に広告を載せ、Firefoxのロゴマークのミステリーサークルを作った。こうした様々な情報を文章に落とし込むスタイルは、その後も継承されている。代わりに、黙示文学的な預言の雰囲気は薄れていく。

Firefox OS 1.0がコードフリーズとなった2013年1月15日も、Mozillaにとって重要な時期であった。デスクトップからモバイルへと開発の重心が大きく傾いたからだ。この動きを反映して、「15章1節」が作られた(Bug 830767)。Firefox 21.0 Alpha 1から現在(56.0)まで掲載されているのが、次の文章である。

The twins of Mammon quarrelled. Their warring plunged the world into a new darkness, and the beast abhorred the darkness. So it began to move swiftly, and grew more powerful, and went forth and multiplied. And the beasts brought fire and light to the darkness.

双子なる強欲の化身らは対立した。その争いは世界を新たなる闇に沈め、獣はその闇を忌み嫌った。そこで獣は素早く動き始め、力強さを増し、打って出てその数を増やした。そして獣らは闇に灯火をもたらした。

双子のマモンとは、言うまでもなくAppleとGoogleのことである。両社が相争い、アプリ市場を寡占した。オープンなWebが損なわれることを嫌って、Mozillaは動き始め、Android版FirefoxやFirefox OSをリリースした。そうした出来事を描いているわけだが、残念ながらMozillaはその後、大幅な撤退を余儀なくなされた。

満を持しての反転攻勢は、Firefox Quantumから始まる。そのリリース予定日は2017年11月14日だ。というわけで、about:mozillaの「11章14節」は次のようになっている。

The Beast adopted new raiment and studied the ways of Time and Space and Light and the Flow of energy through the Universe. From its studies, the Beast fashioned new structures from oxidised metal and proclaimed their glories. And the Beast's followers rejoiced, finding renewed purpose in these teachings.

獣は新たな衣服を身にまとい、時空と光、宇宙内のエネルギーの流れについて、それらのあり方を学んだ。学びにより獣は錆びた金属から新たな構造物を作り上げ、その栄光を宣言した。獣を奉ずる者らは教えの中に新たな目的を見出し歓喜した。

時空はQuantum(量子)プロジェクトを指し、光はPhoton(光子)プロジェクトを指す。Photonの新UIにより、Firefoxは新たな衣服を身にまとうことになった。そして、Quantum CSSなど、Rust(錆)言語で書かれたコードがFirefoxに力を与えた。なお、スピードアップへの貢献度が高いQuantum Flowは、サブプロジェクトながら大きな扱いを受けている。

この一節が「預言」として現実のものとなるかどうか。それは神のみぞ知る、だろう。

ブックマークからタブを開く際の隠し設定(Firefox 57以降)

Firefox Quantumは旧式の拡張機能がサポートされなくなるバージョンであり、本体の挙動をカスタマイズする拡張機能が動かなくなるケースも少なくないだろう。Mozillaも対策として、タブのコンテキストメニューにタブを複製する項目を追加したりしている。今回は、ブックマークからタブを開く際の挙動を変更する新設定を2つ紹介しておく。

新設定はいずれもオプション画面からは変更することができない隠し設定だ。なのでまずはアドレスバーに"about:config"と打ち込んでページを開き、「動作保証対象外になります!」という警告が出たときは、「危険性を承知の上で使用する」をクリックして先へ進む。そして、検索ボックスに以下の設定名を入力してみよう。

1つ目の設定は、browser.tabs.loadBookmarksInTabs。これをtrueに変更すると、ブックマークされたページを常に新しいタブで開くことができる(Bug 658245)。うっかり現在のタブを上書きしてしまうことを防げるわけだ。ただし、本記事執筆現在、ブックマークメニューとブックマークサイドバーでは正常に動作するが、メニューパネルのブラウジングライブラリーからページを開いた場合は挙動がおかしい。

2つ目の設定は、browser.bookmarks.openInTabClosesMenu。これをfalseに変更すると、ブックマークの項目を中ボタンクリックするかCtrlキーを押しながらクリックした場合、ページを開いた後もブックマークが閉じなくなる(Bug 260611)。フォルダ内の項目を順次開いていくときなどに便利だろう。

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ページを開いた後もブックマークが閉じない

Firefox Quantum雑感

"Firefox Quantum"という名称

Mozillaの公式ブログその他を読むとFirefox QuantumはFirefox 57「だけ」の別名に見えるが、実際には数バージョンにわたって使用される名称だ。Photon UIのブラッシュアップはFirefox 59の開発サイクルが終わるまで続くという話があるので、Firefox 60からは元通り数字で呼ばれるんじゃないだろうか。

Firefox 57は、Mozilla Corp.の社運を賭けたといっても過言ではないくらい大きな節目のバージョンになるので、盛り上げるために呼び名を工夫したいのはわかる。が、Quantumプロジェクトの達成度からいうと中途半端な印象だ。今できる高速化を詰め込んだQuantum Flowが成功したので、格好はついたものの、Firefox 57の時点で有効化されたのはQuantum CompositorとQuantum CSSまで。それにQuantum CSSが真価を発揮するのはこれからだ。仮にFirefox 60までQuantumの名前を引っ張るにせよ、Quantum DOMは追加できてもQuantum Renderは間に合うかどうか。

高速化と応答性

いちおうここでもFirefox 57のことをFirefox Quantumと呼ぶことにするが、Firefox Quantumはたしかに速い。Developer EditionやBeta版を試用したユーザーからの評判もいいようだ。ただ、速さは体感的なものでもある。応答性の向上なども感覚に影響を及ぼしているのは間違いない。

Quantum Flowでは速度低下の原因を詳しく分析して、丹念に取り除いた。Firefox 55から効果が出始め、Firefox QuantumではSpeedometer v2ベンチマークにおけるChromeとの差が20%以内にまで縮まった。実環境を反映する度合いが高いとGoogleがお墨付きを与えたベンチマークで、ついにChromeの背中を捉えたのだ。Quantum CSSはGeckoのスタイルシステムからパフォーマンスが落ちないようにしながら、うまくはまった場合は高い効果を発揮する。そのほか、Windows版ではAdvanced Layersと呼ばれるDirect3D 11ベースのcompositorが有効化されている。できるだけ多くのレンダリング処理を1回の描画で済ませることにより、CPU/GPUリソースの無駄遣いをなくすという。

こうした高速化に加えて、Mozillaが従来から取り組んできた成果がFirefox Quantumで全面的に発揮されることになる。たとえばe10sだ。旧式アドオンを排除したことで、e10sが無効になる要素がなくなった。今のe10sはcontentプロセスが4つに増えたe10s-multiである。そして、Quantum Compositorが独立したプロセスで動く中、Async Pan/Zoom(APZ)がキーボードによるスクロールを含めて効いてくる。e10s無効の環境から移行すれば、応答性の違いは顕著だ。1年前にMozillaが、e10sでふつうのWebサイトは400%、複雑なWebサイトは700%応答性が向上すると言い出したときは、さすがに盛りすぎだろうと思ったが、今の状況なら400%アップもありえそうだ。

あと、最近Developer Edition/Beta版をインストールしたユーザーは、ほとんどがスタブインストーラを使っているはずだ。大多数を占めるWindows環境では、これで知らず知らずのうちに64bit化している。Mozillaは64bit版に関し、安定性は高まるが速度は変わらないというスタンスだが、システム要件ぎりぎりまでを念頭に置くからそうなるのであって、多くの環境では若干処理が高速になっていると思う。

新しいUI

Photonの新デザインはUIの隅々にまで及んでいるが、ぱっと目につくのはタブが四角くなったのと、タブバーの背景色の変更、それにメニューパネルが文字中心になったことだろうか。ロケーションバー改めアドレスバーで「…」をクリックすると、ページアクションメニューが表示されるようになっているのだが、ちょっと気付きづらいか。それよりも、ツアー画面のオーバーレイ表示がうるさいかもしれない。これでもスキップがかなりしやすくなったほうだ。開発者たちがNightlyで試行錯誤し始めたころなんか、恒久的にオフにする方法が見つけにくくて、嫌がらせかと思うほどだった。

Mozillaはメニューパネルを一切いじらせない方針だ。項目の追加、削除、並び替えはできない。拡張機能を使っても駄目だ。その代わり、ツールバーのカスタマイズは柔軟にできるようにした。ツールバーに常時置いておくのはあれだが、無効化もしたくない拡張機能のアイコンは、まとめてオーバーフローパネルに放り込んでおけるので便利だ。一方、ダウンロードを始めるとボタンがツールバーに突然出てくる仕様に変わった点は、異論もありそうである。

WebExtensions限定化

旧式アドオンを全部捨てるのは相当な賭けに思えたが、案外Mozillaは勝てるかもしれない。理由は簡単で、Firefox Quantumが速くて軽いからだ。他にあんまりメリットがなくて拡張機能が使えなくなりますでは、ふざけるなという反応になるだろうが、今までのバージョンより圧倒的に速く、軽くなるなら話は別だ。しかも、何でもありだったXULベースの旧式拡張機能に比べると、WebExtensionsベースの拡張機能は重くなりにくいし、今のところWindows版のみだが、まとめて1つの独立したプロセスを割り当てられるので、本体を巻き込んでクラッシュする可能性も大幅に低下している。

Chromeの拡張機能APIを取り込んだことで制約が大きくなった反面、移植は簡単になり、開発者にとっての敷居も下がった。Mozilla Add-ons(AMO)には日々新しい拡張機能が追加されていて、WebExtensionsの割合も増えてきた。現時点でこれだから、Firefox Quantumのリリース前後にはもっと賑わうだろう。しばらくはダイナミックにランキングが入れ替わりそうだ。Chromeの拡張機能を移植したことで、Firefoxユーザーの間で火がつき、Chromeユーザーにも人気が出るといったサクセスストーリーが生まれることを期待したい。

最後に

Chrome一人勝ちの状況の中、勝負はこれからだとばかりにFirefox Quantumが出てきた。Mozillaが自画自賛するように、出来は素晴らしい。その上Quantumプロジェクトはまだ先がある。本命はQuantum Renderで、これにWebAssemblyの最適化を合わせると、ゲームプラットフォームとしてのステージが一段上がるはず。旧式の拡張機能とともに捨てられる技術的負債もあるので、Firefoxの高速化は続く。これでシェアも回復してくれるといいんだが。

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素晴らしきFirefox

Firefox 56で設定画面を改編 個別設定の検索も可能に

Firefox 56では「オプション」と呼ばれる設定画面(about:preferences)が大幅に変更される。従来8つあったカテゴリーが4つに再編され、これに伴って項目もあちこちに移動しているのだ(Bug 1365133)。2015年5月のFirefox 38で設定画面がタブ化された際も、その基本的な編成は変わることがなかったが、今回は全面的な見直しが行われている。

また、1カテゴリー内の項目数が増えると目当ての設定を探しにくいという問題に対処するため、検索機能も付いた(Bug 1353954)。設定画面を開くと右上のページ内検索ボックスにフォーカスが当たり、ページのスクロールにも検索ボックスは追従する

どのようにカテゴリーがまとめられ、項目が移動したのか、大まかに見ておこう。Firefox 55までの設定画面は、以下のようなカテゴリーの編成と項目のまとまりになっていた。

  • 一般
    • 起動
    • ダウンロード
    • タブグループ
    • パフォーマンス
  • 検索
    • 既定の検索エンジン
    • ワンクリック検索エンジン
  • コンテンツ
    • DRMコンテンツ
    • 通知
    • ポップアップ
    • フォントと配色
    • 言語
  • プログラム
  • プライバシー
    • トラッキング(行動追跡)
    • 履歴
    • ロケーションバー
  • セキュリティ
    • 一般
    • ログイン情報
  • Sync
    • Firefoxアカウント
    • すべての端末を同期する
    • 端末名
  • 詳細
    • 一般
      • アクセシビリティ
      • ブラウズ
    • データの選択
    • ネットワーク
      • 接続
      • キャッシュされたウェブページ
      • オフラインウェブページとユーザーデータ
    • 更新
      • Firefoxの更新
      • 次のソフトウェアを自動的に更新する
    • 証明書
      • 要求

これに対し、Firefox 56では次のように変わっている。

  • 一般
    • 一般
      • 起動
      • タブグループ
    • 言語と外観
      • フォントと配色
      • 言語
    • ファイルとプログラム
      • ダウンロード
      • プログラム
      • デジタル著作権管理(DRM)コンテンツ
    • Firefoxの更新
    • パフォーマンス
    • ブラウズ
    • ネットワークプロキシ
  • 検索
    • 既定の検索エンジン
    • ワンクリック検索エンジン
  • プライバシーとセキュリティ
    • ブラウザープライバシー
      • フォームとパスワード
      • 履歴
      • アドレスバー
      • キャッシュされたウェブページ
      • トラッキング保護
    • 許可設定
    • Firefoxのデータ収集と利用について
    • セキュリティ
      • フィッシング保護
      • 証明書
      • オフラインウェブページとユーザーデータ
  • Firefoxアカウント
    • Firefoxアカウント
    • Sync設定
    • 端末名

2つを比べてみると、〔検索〕と〔Sync〕のカテゴリーは改編後もほぼそのまま残っている。そして、〔プライバシー〕と〔セキュリティ〕が統合されている点もわかりやすい。つまり、今回の改編は、残る4カテゴリーを1つにまとめて並べ替えた点が大きい。

仕様書のリリースノートによれば、2017年6月にバージョンが1.3から2に飛んでおり、この時点でデザインが練り直されている。新デザインは「コンテンツ戦略とユーザーテストの結果」に基づいて決定されたという。筆者の理解だと、Mozillaはユーザーの使いやすさに配慮しつつも、アピールしたい箇所はカテゴリーのまま残したのだ。〔プライバシーとセキュリティ〕と並んで、〔検索〕と〔Firefoxアカウント〕が独立のカテゴリーになっている点は興味深い。将来的に項目を追加する予定があるからこそ、あえてそうなっているように思える。

ちなみに、次のFirefox 57の設定画面では、Photonの新UIに合わせてビジュアル面の改修が実施されるほか、設定の一部も変更される。レスポンシブ化により、表示領域が狭いときはカテゴリーがアイコンのみで表示されるようになる点もポイントだ。