Mozilla Flux

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つなぎ役としてのFirefox 3.6 Beta revision 4

サンクスギビングのアメリカ人は休む。当日だけでなく、週末までずっと休むのである。学生を含め、多くの人が帰省して、「おふくろの味」ともいうべき七面鳥料理に舌鼓を打つ。なのでレストランも閉まってしまう。

Mountain View(カリフォルニア)にあるMozilla Corporationもご多分に漏れない。主要な開発者の大多数が集まっている拠点が動かないのでは、開発も滞らざるを得ないだろう。当初の目論見では、サンクスギビングの前にFirefox 3.6 RC(リリース候補版)を出すことになっていたのだが、開発が遅れ、せめてコードフリーズまでは到達しようという線に後退した。ところが、Blockerバグを潰しきれそうにない。そこで、予定になかったFirefox 3.6 Beta revision 4の登場となった。

休日返上で開発を進めれば何とかなりそうなものだが、そうした日本的な考え方は通用しない。休むときはきっちり休まねばならず、その間は50万人近いBetaテスターたちに最新Beta版をいろいろ試してもらうのが、彼らにとっての正しいあり方だ。

そんなわけで、revision 3から一週間ほどでFirefox 3.6 Beta revision 4がリリースされた。パッケージ版があり、自動アップデートがある。これまでどおりだ。

リリースノートには、140個以上のバグ修正(リストで確認できるのは133個)とあり、revision 3よりも修正数だけみれば多い。だが、クラッシュバグに対処し、意図通り動作しない点を適正化するなど、完成度を高める作業が大半のため、revisionが上がったことをなかなか実感できないかもしれない。ただ、一時はまっすぐリリース候補版に向かっていたのだから、安定性を重視するのはやむを得ないだろう。ちなみに、既知の問題リストに、「フルスクリーン表示した動画がすぐに閉じられてしまう」(Bug 530654)というMac版特有のバグが加わったが、本記事執筆時点で修正済みとなっており、RCでは問題ない。

例によって、追加あるいは変更された機能について、主なものを挙げておく。

  1. HTML5 File APIのサポート。Webコンテンツがユーザーにローカルのファイルを選択するかどうかを尋ね、ローカルファイルの内容を読めるようにする。ドラッグ&ドロップにも対応
  2. 軽量テーマ(ペルソナ)が通常のアドオンと同様に定期的なアップデートチェックを行うように(Bug 520346
  3. 管理者権限のないユーザーにもセキュリティアップデートを通知する仕様にBug 407875
  4. コンテクストメニューの「Googleで検索」を選ぶと、現在のアクティブタブの隣に結果を表示するタブが現れる形に(Bug 515635
  5. Gmailチャット使用時にスクロールが著しく遅くなる問題を解消(Bug 528604
  6. アップデート時にユーザーアカウント制御(UAC)の画面でupdater.exeが加える変更をキャンセルした場合でも、次回フルアップデートを強制されない(Bug 510501

Mozilla Developer News『Firefox 3.6 Beta (revision 4) now available for download』は、アドオンのほぼ70%がFirefox 3.6 Betaへの対応を済ませたとアナウンスしている。かなり互換性が高まってきたといえるだろう。RC版のリリースは12月上旬とされており、そのころにはもう少し数字が向上しているはず。試してみるいいチャンスだ。

Mozillaとして、リリース候補版は一つだけに抑えたいと思っているだろう。RC2あるいはrevision 2が出る可能性はあるものの、Firefox 3.6は、ちょっと早いMozillaからのクリスマスプレゼントになりそうな気配である。