Firefox 3.6 Betaがようやくリリースされた。当初の予定と比べると、丸々1か月の遅れだ。なかなかコードフリーズに達しなかったこともあるが、Alpha 1のときと違って、QA(品質管理)テストに充分な時間をかけた点も大きく影響した。
Windows / Mac OS X / Linuxのそれぞれについて、日本語版を含めた各国語版のインストールパッケージが用意されている。ただし、リリースノートは英語のみ。Mozilla Japanによる公式訳は、リリース候補版(RC)を待たねばならない。
リリースノートによれば、Firefox 3.6 Beta (revision 1)の新機能は次のとおり。
Firefox 3.6 Betaは、MozillaのGecko 1.9.2 Webレンダリングプラットフォームの上に構築されています。このプラットフォームは、数か月にわたって開発が続けられてきたもので、Web開発者、アドオン開発者、そしてユーザーに向けた多くの改良点を含んでいます。本バージョンは、前バージョンよりも高速で、応答性も高まり、Windows CEやMaemoといった小さなデバイスのオペレーティングシステムにおける動作についても最適化されています。
- このBeta版は50以上の言語で利用できます。−ローカル版を入手
- Personasのサポートを組み込んだことで、ブラウザの外観をワンクリックで変更できるようになりました。
- Firefox 3.6はユーザーに対し古いプラグインがあれば警告し、安全性を保ちます。
- オープンフォーマットの動画再生をネイティブサポートする機能に関して、フルスクリーン表示が可能となり、ポスターフレーム[訳注:再生前に画面に表示されるフレーム]もサポートしました。
- WOFFフォントフォーマットのサポート
- JavaScriptパフォーマンス、全体的なブラウザの応答性、起動時間の改良
- 新しいCSS、DOM、HTML5 Webテクノロジーのサポート
開発者の方々向けに、Mozilla Developer Centerですべての変更点と新機能[日本語版]も用意しています。
ここまで、タイトルを含めrevision 1(第1版)という表現を使ってきたが、第1版があるなら第2版もあるのだろうか。その疑問に答えるのが、hacks.mozilla.org『Firefox 3.6 Beta 1 now available - what’s new for web developers』である。結論から言えば、少なくとも第2版はリリースされるようだ。具体的には、1〜2週間ごとにBeta版ユーザーにアップデートを提供するという。Personasの統合を担当する開発者たちのミーティングでは、Firefox 3.6 RC1のコードフリーズは11月の第2週と見込まれており、リリースは11月下旬、最終版が12月になるらしい。すると、RC1のリリースまでに最低1回はBeta版のアップデートが行われると考えられるのである。
上のhacks.mozilla.orgの記事は、ほかにも、リリースノートには書かれていない、Firefox 3.6 Betaの開発者向け新機能が掲載されていて興味深い。
- ファイルベースのドラッグ&ドロップのサポート。デスクトップからブラウザへとファイルのドラッグ&ドロップが可能に。File APIと組み合わせることで、写真・ビデオのアップローダその他、データをインポートする機能をもったものを開発する際に役立つ、非常に強力な機能セットを提供する。
- @font-faceがWOFFフォーマットをサポート
- background-imageで複数の背景画像をサポート
- -moz-background-sizeを通じて背景サイズを指定できる。
- 非情に強力なポインタイベントのプロパティ仕様を定めたことで、ある要素がイベントを受け取れるかどうかをコントロールできるようになった。
- CSSのimage-renderingプロパティを通じて、画像レンダリングのアルゴリズムを指定可能に
- video要素でポスター画像が機能するようになった。
- 自分の居場所がおおよそどの住所に当たるのかを取得する、Geolocationの新機能をサポート
- 方向性イベントのサポート
さらに、Firefox 3.6の最終版がリリースされるまでには、CSS gradientsの構文が変更され、<input type=”file” multiple>のサポートによって複数のファイルを同一のアップロードコントロールからアップロード可能になるなど、追加の修正も予定されている。
最後に、既知の問題点にも触れておこう。
既知の問題点
このリストは、将来のバージョンで解決されることになるFirefox 3.6 Betaの既知の問題の一部をカバーするものです。
全システム
- 「新しいタブで開く」からタブを開いた際は、現在のタブのすぐ右隣にタブが来る形にデフォルト設定が変更されました。(Bug 465673)
- オプション/設定画面のコンテンツのパネルから、「Javaを有効にする」のチェックボックスが削除されました。その代わり、ツールメニューのアドオンマネージャからJavaを無効にできます。(Bug 506985)
- コンテクストメニューの「プロパティ」の項目が削除されました。画像のプロパティに対しては、新しく「画像情報」の項目が追加される予定です。(Bug 513147)
- FIPSモードを有効にした状態で、特定のファイルがシステムから削除されている場合、ブラウザが起動時にクラッシュするおそれがあります。(Bug 522041)
Microsoft Windows
- セッション復元の際、最小化されたウィンドウがときどきスクリーンから消えるかもしれません。(Bug 520178)
Mac OS X
- Javaプラグインを無効に設定した場合、Firefoxを再起動するまでは新しいウィンドウに対してのみ適用があります。(Bug 521818)