Mozilla Flux

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Firefox 3.5 Previewのリリースを控えて

正式なアナウンスは出ていないものの、Firefox 3.5 PreviewのQA作業が続けられ、一方でRC1はコードフリーズしないまま開発が継続していることからみて、Beta 4の次に登場するのはこのPreview版である可能性が濃厚となった。そこで、Beta 4以降に加えられた変更点についてそろそろまとめておきたい。

開発動向

主だったところは既に記事に起こしているので、関連記事を参照していただきたい。ここでは、その他の注目点をピックアップする。

Firefox 3.5は動画のネイティブ再生機能に力を入れているが、Beta 4の後に加わったものとして、autobuffer属性のサポート(Bug 479863)が挙げられる。『Some updates about the video and audio tags』に詳しいが、これまではWebページを読み込むとすぐに動画ファイルのダウンロードが始まっていたのを、Webページ側でこの属性を指定することで、ユーザーが再生ボタンをクリックするまでダウンロードを始めないようにできる。

Firefox 3.5 Previewでは細部のデザイン変更も多岐にわたった。『Visual Polish in the Firefox 3.5 Themes』によれば、Windowsではメインウィンドウにおいて、新規タブボタンや小さな矢印などに手が加えられた。ふだんは十字や三角の部分が軽くへこんだ形状で、クリックしたときだけ色が付くようになっている。中でも比較的インパクトがあるのは新規タブボタン(Bug 494658)で、率直に言ってボタンの印象が薄くなった。タブが増えたときに見つけにくいと感じる。

また、Mac OS Xではキーホール(戻る/進むボタン)の背景部分が、Linuxではプラグインアイコンがそれぞれ変更されているという。Mac版に関する詳細は「やってMotors」の『アイコンの変更 ~ Firefox nightly』を参照のこと。

次に、Code Sprints関係は進展がなかった。唯一、「Places DB Creation Scripts」(Bug 480340)は完成したようだ。ただ、Bugzilla@MozillaではFIXEDになっていない。

Firefox 3.5 Previewで修正されず、正式版でも残るであろう問題の一つは、当ブログで何回か扱ったとおり、カラーマネジメント機能がICC Version 4のプロファイルに対応しないことである。エンジンが切り替わったとはいえ、Beta 3まではちゃんと対応していたのだから、リグレッション(機能後退)であり、3.5.x系列の間に対処してほしいところだ。

もう一つ、細かな問題として、Mozilla Add-onsでEV SSLの表示にならない不具合(Bug 474606)もある。Firefox 3.0.xやMinefield(3.6a1pre)では正常に表示されるのだが、Firefox 3.5 Previewでチェックすると、たんなるSSLの表示になってしまう。とくに支障はないものの、セキュリティ機能の信頼性に関わるとの見方もでき、やはり3.5.x系列の間に対処することが望まれる。

Beta 4以前の補足

併せて、Beta 4以前の補足もしておきたい。関連記事を挙げると思った以上に多かったが、開発が最終段階に入り、新機能の追加が限定されていることからすると、当然の流れか。

ここでは、あまり知られていないであろうトピックを一つ採り上げる。Firefox 3では、ライブブックマークを数多く登録している場合、一時点に負荷が集中するため、ブラウザごとフリーズする現象がみられた。Firefox 3.5ではこのバグ(Bug 329534)が修正され、負荷の分散によって状況が改善しているのだが、このパッチは、もともとFirefox 3の私家版ビルドに向けて作成されていた。「MarleySoft 別館 - 綾川版Firefox&作成のための覚え書き」で公開されているものがそれで、改良を重ね、Dietrich Ayala氏とMarco Bonardo氏(両名ともFirefoxの主要開発者)のレビューを経て、本体に統合された。日本人がコード面で貢献した例である。