Mozilla Flux

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アドオンをセットで提供するプラン

Firefoxが他のWebブラウザと差別化を図り、継続使用率(初回起動後30日を経過しても使用を継続しているユーザーの割合)を高めるために、アドオンが不可欠の要素であるという認識は、Mozilla関係者の間で広く共有されつつある。

そして、現在のトレンドは、一定のテーマに沿ってアドオンをグループ化し、セットで提供することによって、ユーザーの利便性を向上させるとともに、多様なアドオンに触れる機会を増やすところにある。

その試みの一つとして、Mozilla Add-ons(AMO)の「Fashion Your Firefox」が挙げられる。ユーザーの関心やWebでの活動をベースに、Mozillaが9つのカテゴリーを設けて、各カテゴリーに3〜8個程度のアドオンを並べたものだ。たとえば、「News Junkie」のカテゴリーには、『Forecastfox』『Wizz RSS News Reader』『Morning Coffee』『Read It Later』が入っているといった具合である。

アドオンの紹介とともに、ダウンロード用のボタンが付いているので、すぐに試用できる。が、日本ではMozilla Japanが独自に「おすすめの拡張機能」を紹介しているためか、翻訳もされておらず、ほとんど知られていない。

AMOの新たな試みは、6月のアップデートで導入される「Collections」だ。別名をAdd-on Jockeyといい、ユーザーが好みのアドオンのリストを作って公開・共有する機能である。Amazonのリストマニア機能のアドオン版といえるもので、Fashion Your Firefoxのようなお仕着せのリストではなく、ユーザーの関心に基づいたリストが豊富に提供されるものと期待されている。

ここから一歩進め、利用者層や利用目的に合わせて複数のアドオンをパッケージにし、一括してインストールする仕組みを提案するのが、Phani Kumar Vadrevu氏とUttam Byragoni氏のふたりだ。彼らはインドの大学生なのだが、Impact MozillaというMozilla主催によるマーケティングプランのコンテストで、「Fox For All」というプランを提出して優勝した。昨年12月のことである。なお、プランは長文だが、Blog of Metricsに概略が掲載されている

プランによれば、複数のアドオンをパッケージにして提供することで、より多くのユーザーがアドオンを採用するようになり、ひいてはFirefoxの継続使用率を高めることにつながる。パッケージの種類を決めるに当たっては、統計調査を行う必要があるとし、Vadrevu氏らはこのプランのために985人を対象に調査を行い、さまざまなカテゴリーを提案している。

ポイントの一つは、あるパッケージに封入するアドオンを必ずしも固定しないところだ。もちろん、固定するケースもあり、たとえば「Kids / Teens」向けであれば、「Adult Content Filters, Cartoons, Online Games, Animated Characters Based Browser Themes and Skins」を含む10個のアドオンをパッケージにする。他方、「Internet beginners」向けの5個となると、インターネット初心者の範囲は広いので、何をパッケージに詰めるかは簡単に決められない。そこで、ユーザーにいくつかの質問に答えてもらい、入れるべきアドオンを調整するという。さらに、ユーザーのブラウジング履歴をベースに「Music」のカテゴリーから3個を提案するといったシステムも構想されている。

加えて、プランはアドオン提案ツールにも言及している。メニューバーの右端に、1日5個までのアドオンを表示し、インストールを促すものだ。アドオンマネージャにも同様の機能はあるけれども、より目立つ位置に表示することと、ユーザーの環境情報も参照して提案内容を決める点が異なる。

Mozillaの発表では、優勝者のふたりとプランを実装する可能性について協議するとのことであった。それから5か月が経過したのに、何の音沙汰もないのは残念だ。このプランの優勝は、10の最終候補の中から5000人以上のユーザーが投票して決まったものであり、少なからぬユーザーが、複数のアドオンをパッケージ化するアイデアに興味を示していたことは間違いない。もとのプランに手を加えてとか、一部分だけとかでも構わないが、実装の見込みがあるのかどうか、Mozillaから発表がほしいところである。