Mozilla Flux

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Adblock Plus vs. NoScript

Adblock PlusNoScriptは、Firefoxのアドオンの中でもトップクラスの知名度を誇る優れたアプリケーションである。ところが、今、両者の間でもめごとが起きている。

Adblock Plusの作者Wladimir Palant氏が書いた『Attention NoScript users』によると、Adblock Plusの対象広告リストとして有名なEasyListに、NoScript関連のドメインが追加されたのが発端のようだ。二週間ほど前のことである。リストに追加されると、Adblock Plusのユーザーに対してはそれらのWebサイトで広告が表示されない。NoScript側がこれに対抗措置を講じたことで争いに火が付いた。

当初、NoScriptの作者Giorgio Maone氏は、難読化されたコードを追加してAdblock Plusの一部機能を無効にしてしまったらしい。ユーザーがNoScriptをアップデートすると、Adblock Plusの機能に影響が出る形だ。NoScriptのフォーラムでは互換性の問題を解決しただけと説明されたが、Mozilla Add-ons(AMO)のポリシーに抵触する振る舞いだということで、この措置は撤回された。

しかし、今度はユーザーの同意無くAdblock Plusに独自のホワイトリストを追加するようになったのである。つまり、NoScript関連のドメインでは広告が従来どおり表示されるように、例外を設けたわけだ。これでは元のリストを上書きしたも同然だ。しかも、厄介なことにこのホワイトリストは無効にはできるが、削除できない。削除すると次回Firefoxを起動した際に追加される仕組みになっているためだ。加えて、NoScriptをアンインストールしたときも、この追加分は残ってしまう。

Maone氏の説明では、ユーザーにNoScriptの開発をサポートする機会を与えるべきだとのこと。本音では、広告収入が減るのは困るのだろう。

Palant氏は拡張機能作者が拡張機能から収入を得ること自体には反対していないが、今回の件はやり過ぎだとして非難している。AMOのNoScriptに対するレビューにもユーザーからの批判が殺到しており、中にはマルウェア扱いする声さえある。

Palant氏の発言からすると、今のところAdblock Plusがプログラム上の対抗措置を組み込むことはなさそうだが、対立が簡単に終息するとも思えない。拡張機能作者に対する寄付はさほどの額を集められないものとみられ、広告収入に頼らざるを得ない実情がある一方で、広告を見たくないユーザーの選択も尊重に値するから、それを実現するアプリケーションが存在することもまた正しいだろう。Palant氏はユーザーの犠牲のもとに拡張機能をマネイタイズすることに反対しており、正論ではあるが、かといって拡張機能作者に自己犠牲を強いていいのかという問題が残る。

筆者はユーザーの同意無くホワイトリストを追加するNoScriptの手法には反対だが、開発費の捻出に広告収入が必要だとの説明を先に表示し、明示的な同意を得てから追加するのであれば、それはやむを得ないと考える。

(09/05/04追記)続報:『NoScriptの全面譲歩で決着