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ブックマーク機能の見直しに向けて

Mozilla LabsのJonathan DiCarlo氏が、『Do We Still Need Bookmarks?』というブログ記事を書いた。そこでは、ブックマーク機能の重要性が10年前よりも低下し、かつてのような働きができていないのではないかと論じられている。タグやフォルダによる整理ができるようにはなったが、大量のブックマークを抱えている場合、その整理自体が一苦労だともいう。

DiCarlo氏は、従来のブックマークが果たす役割を次の四つに整理した。

  1. ToDoリスト。今は見ないが、後で見るためにWebページを登録する場合である。あるいは、フォームに情報を入力したいが、調べる必要があるため後で再訪問するときに備えて残しておくケースもあるだろう。
  2. 共有。面白いと思ったWebページのURLを記録し、他の人にリンクを提供するためにブックマークする。
  3. 頻繁な利用。よく使うWebページへすぐにアクセスできるようにする。
  4. 調査上のコレクション。あるテーマについてWebで調べた際、有用なページの一覧を保存するためにブックマークしておく。

このように役割と使用例を挙げた上で、同氏は、ブックマークがその役割を十分に果たしていないと主張する。

  1. ToDoリストについて。ブックマークは、ユーザーが何をしたかったのかまでは記録に残らないし、既読と未読の区別もできない。タブをずっと開いたままにしておくか、「Read It Later」のような拡張機能を利用するほうがニーズを満たせる。
  2. 共有について。いちいちブックマークを介さずに、すぐに共有できたほうがいい。「Shareaholic」のような拡張機能は、そのためにある。
  3. 頻繁な利用について。スマートロケーションバーを使ったほうが素早くアクセスできる。よく使うページほど候補の上位に来る仕組みになっているためだ。
  4. 調査上のコレクションについて。オンラインブックマークのサービスを利用すれば、タグで分類できるだけでなく、どこからでもアクセスできて、複数人による共有まで可能になる。

要するに、10年前は存在しなかった便利なプログラムやサービスが、ブックマークの役割を置き換えるようになったので、ブックマークが不十分に見えるようになったということだ。同氏は、ブックマークをそうした他の手段よりも有用なものへと進化させるにはどうしたらいいか、などと問いかけて文章を締めくくっている。

DiCarlo氏の立場や文章を発表したタイミングからして、これは一種の観測気球なのだろう。Firefox.nextでブックマークという枯れた機能に大胆にメスを入れたいと思っていればこそ、その役割と欠点を整理して示したと考えるのが自然だ。その先の道は明らかにされていないが、文脈からすれば、ブックマークを解体しつつ、その役割ごとに機能を強化して再実装する流れを念頭に置いているように見える。タブ機能の改修と並ぶ、注目すべき動きである。