Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

今週のMeeting要旨 090416版

今週開かれた開発者ミーティングから、注目の情報を選んで掲載。日付はすべて米国太平洋夏時間(PDT)を基準にしているので、日本時間とはずれる。

Firefox Product Delivery Meeting(2009-04-15実施)

予定では、本日Firefox 3.5 Beta 4のコードフリーズとなるはずだが、これを書いている時点でP1 Blockerが12個残っており、今日中に解決できるか微妙なところだ。

P1 Blockerの一つが”Bug 488015 - Crash [@ js_GetUpvar ]”で、「新秀の介の日記」(2009-04-12)において取り上げられているが、やってMotorsの『昨日と今日の Nightly(2009-04-13)』で、YOMIURI ONLINEにアクセスするとクラッシュするというのも、同じ原因と判断できる。”Bug 452498 - TM: Can we jit heavyweight functions? (upvar, part deux)”というP1 Blockerの筆頭格ともいうべきバグがあり、これを修正した副作用がBug 488015という構図。したがって、クラッシュをもたらすBug 488015が解決されないかぎり、Beta 4はコードフリーズできない。

(09/04/18追記)
あ さんが指摘されているとおり、YOMIURI ONLINEは別の原因でクラッシュしている。「実行する場所が同じなため結果的に同じ場所でクラッシュ」していたのだ。なお、この件を扱ったBug 488802は、既にパッチが完成した。<追記終>

Beta 4以降のスケジュールについては未定だが、「final ship」といった語句も出ており、第2四半期中の正式版リリースを目指して次をRC1にしたい意図は明らかだ。Mozilla Add-OnsがBeta 4のリリース後に3.5.*のmaxVersionを解放すると報告しているのも同じ流れだろう。

とはいえ、P1を除いたBlockerは現時点でも60個を超えている。これがさらに膨らむことはFirefox 3のときの経験から明らかといえる。無理せずBeta 5を出すほうが結局は近道だと思うが……。

Development Meeting(2009-04-14実施)

Blocker総数の増加が報告された。「we're falling off of blocker triage」という一文は何を意味するのか。総数を抑えるべく、Blockerにノミネートされているものをあえてそのまま放置するつもりなら、あまり褒められた話ではない。

TraceMonkeyのDOMへの拡張について議論されていたのは非常に興味深い。一部をGecko 1.9.1へ前倒しでもってくるという嬉しいニュースだ。”Bug 480187 - Make qsgen.py generate traceable natives”はFirefox 3.5 Beta 4に入る。”Bug 487134 - TM: Record all calls to native functions”もパッチはできているので、Firefox 3.5に投入される余地が残っている。

なお、上とは無関係だが、スタイルシートのSpeculative ParsingがFirefox 3.5 Beta 4に入る(Bug 457810)ことになった。Beta 3と比べてもさまざまな点で高速化が進んでいる。

ところで、これを書いている時点で、Trunkでだけ修正されていたバグが続々とBranchでも修正されつつある。駆け込み的にパッチをチェックインしているわけで、リグレッションの特定がややこしくなるため、あまりいい話ではないのだが、それはさておき、はたして必要なパッチをすべて処理できるのだろうか。

もし、開発陣がBeta 4を最終β版と考えているなら、Firefox 3.5に投入する予定のパッチは、コードフリーズまでに一つ残らずBranchに投入されるべきだ。仮にあるパッチが抜け落ちていたとすると、そのせいで余計なバグ報告が行われ、原因の見極めに時間を取られることが充分ありうる。また、パッチが入っていれば見つかったリグレッションが、見つからなくなることもあるだろう。これらは、リリース候補版を作成するうえで支障となるから、必要なパッチは細大漏らさずBranchに投入しておくのが筋というものだ。

しかし、Bugzilla@Mozillaで調べてみると、そこまでの動きにはなっていない。本当にそれで問題はないのか。

Thunderbird Status Meeting(2009-04-14実施)

Thunderbird 3 Beta 3の新スケジュールについては、既にmozilla.dev.apps.thunderbirdでアナウンスされていたところだが、ミーティングでも正式に報告された。毎週リリースされるマイルストーンも、m6が追加された。

リリースが一週間延びる(5月12日)ことになるが、これを書いている時点で、Beta 3のBlockerは64個(先週-2)あり、うちb3uxのサブフラグがついたバグは26個(先週-1)となっている。進捗状況は良くないため、さらなる延期が懸念される。

前々から話が出ていたブランチの作成については、Beta 3のリリース直前が最有力。また、Mozilla Wikiに『Thunderbird:Thunderbird3:Final』が出ているので、Beta 4は予定されていないとわかる。Beta 3の次はRC1だ。

そうなると、Firefox 3.5の開発の遅れは頭痛の種といえる。ベースとなるGecko 1.9.1は、Thunderbird 3も利用しているからだ。足を引っ張られないためには、完成前のGecko 1.9.1を搭載してリリースするのが手っ取り早いが、後でマイナーアップデートの際に完成版のGecko 1.9.1をフォローする必要が出てくる。しかし、それでは拡張機能の互換性が心配だ。開発責任者たちの結論はまだ出ていない。