Mozilla Flux

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「新しいタブ」にタスクを追加する実験

Firefox.next(3.5の次のバージョンを便宜上こう呼ぶ)では、新規タブを開いたときに、空白ページではなく有用なタスクを追加したページを開くようにしようという計画がある(『Firefox 3.2のタブ機能をさわりだけ』参照)。Mozilla Labsは、これまで温めてきたコンセプトを具体化する実験的なアドオンを公開した。ただ、利用にはFirefox 3.1のβ版が必要だ。

実際に導入してみて気づいたことも含め、その機能について簡単に紹介しよう。

Quick-access Bar

以前"Quick-access Strip"と呼ばれていたものだが、画面右端にサムネイルが縦に並ぶことから、バーに改称された。なぜ右端なのかといえば、ユーザーの中心視覚からあえて外れた場所に置くことで、操作の邪魔にならないようにするためである。

サムネイルは7つあり、最初の時点で自動的にWebページにアクセスして画像を取得する。ファビコンはサムネイルの上に重ねて表示される。将来のバージョンではこれらがグレースケール、つまり白黒で描画されるという。また、ユーザーが能動的にページにアクセスすると、RSSを取得し、タイトルの下にヘッドラインが加わる。このヘッドラインは毎回更新されるようだ。

対象となるWebページは、Firefoxの履歴をベースに、訪問日時と訪問頻度を計算して順番が決められる。ただ、スマートロケーションバーと違って、ユーザーがブラウジングを始めるページに絞ってこの基準を適用する。つまり、ユーザーが最初にアクセスする可能性が高い順にページが並べられている。

Firefox版のGoogle Toolbar 5 Beta 2と比較すると(『「新しいタブ」をパーソナライズ』参照)、Quick-access Stripは積極的にページの情報を取得しようとする傾向が強い。その分、読み込みに時間がかかるため、賛否両論ありそうだ。

また、今のところ特定のページが現れるのを抑止する機能はない。いったん現れたサムネイルを削除する機能もない。RSSのヘッドラインが次のページのタイトルと被ることも多く、スクロールバーが出ないので一番下のサムネイルは途中で切れてしまうといった問題もある。

Contextual Actions

ユーザーの直前の操作に合わせて、一定のタスクを提案する機能だ。具体的には、ユーザーがページ内でコピーを選択した情報を参照する。それが語句なら検索を提案し、住所なら地図表示を提案する。ユーザーは、提案されたタスクのボタンをクリックするだけでいい。

現在のところ、反応するのは英語だけで、日本語の語句を選択してもタスクは出ない。また、URLを選択したときはそのページへ直接飛ぶボタンが出るというのだが、筆者の環境では出現しない。このあたりは最初のプロトタイプだけに仕方のないことだろう。

当初のモックアップでは、別ページに最近閉じたタブの一覧が表示されることになっていたが、これは採用されなかった。その代わり、直前に閉じたタブの復元がタスクとして提案される。Contextual Actionsの一つとして統合されたわけだ。ただ、複数のタブを一気に閉じたケースには未対応である。

感想

モックアップを洗練させて、動く形にまでもってきたことは評価できる。しかし、使い勝手には微妙なところもあり、Google Toolbarのほうが実用性は高いのではないだろうか。とはいえ、RSSでヘッドラインを取得するアイデアは目新しい。Webメールの新着情報を確認するのに便利だと説明されており、人によっては重宝するだろう。

(09/03/07追記)
About:Tabアドオンが、記事アップ時のバージョン0.0.2から、0.0.18へと更新された。サムネイルはグレースケールで表示されるようになり(ファビコンは意図的にカラーのまま)、サムネイルの数も画面サイズに合わせるようになったため最下部が途切れなくなった。また、URLをコピーしたとき、ちゃんとページを開くボタンが出現する。

なお、Mozilla Links日本語版に『Mozilla Labs から新しいタブページ』という記事が掲載された。併せてどうぞ。