Mozilla Flux

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Mozillaサイトのデザイン

Firefox 3のリリースに合わせて、Mozilla.comはWebサイトのデザインを変更した。つまり現在のデザインのことだが、背景にはどういった意図があったのだろうか。

以下は、企画者が語ったMozilla.comについての話を下敷きにしているが、Mozilla Japanも同じデザインを採用しているので、この話が当てはまる。

新デザインの目的は、Firefox 3のすごさを宣伝するとともに、新しく来た人にMozillaってこんなもの、という感触を与えることだったそうだ。

こんなものとはいったい、どんなものなのか。Mozillaは、世界中のコミュニティからの貢献によって築き上げられた草の根運動的な団体だ、と自己を位置づける。サイトのデザインは、その独特で、形にとらわれない、極めて非企業的な性質を具体化することが絶対条件で、それでいてプロの信頼感があり、ちゃんと情報を伝える有用なものであることも必要だ……というのが企画者の弁である。

MozillaはFirefoxを"100% organic software"(100%有機栽培のソフトウェア)と呼んでいるのだが、はっきりとはいわないものの、おそらく反Microsoftの意識がそこにはある。農薬たっぷりの大規模農法で作られた、穀物メジャーが売りさばく農作物ではなく、有機栽培で作られた栄養豊富な農作物というイメージ。このイメージが真実と合致しているかはともかく、PR戦略としては、そうしたイメージには利用価値がある。要は大企業のMicrosoftに対抗して、個人の集まりが手作りの素晴らしいソフトウェアを提供しているのです、と伝えたいわけだ。

だからサイトのデザインもその手作り感が出るようにした。項目を分けるラインをあえて鉛筆で線を引いたような感じにし、「インターネットにおけるよきものすべて」を表すようなイラストをちりばめた。それが風船や、UFOや、擬人化されたキャラクターたちだ。

「企業よりも個人の力が重要」というメッセージを、Webデザインを請け負う企業(The Royal Order of Experience Design社)を雇って作らせたサイトで発信するあたりに、ある種のアメリカらしさを見ることもできるだろう。が、そのような皮肉な見方をするよりも、組織理念を徹底して行動に反映させようとする姿勢に対し、素直に賛辞を送りたい。