2017年6月20日(米国時間)、Android版Firefox Focus(以下Focus)がリリースされた。昨年11月にiOS版がリリースされてから半年あまりで、FocusはiOS/Androidという二大モバイルOSをサポートするに至った。目についた範囲では、窓の杜、CNET JapanとOSDN Magazineが今回のリリースを取り上げている。
Focusの強みは、そのシンプルさと軽さである。起動は高速で、使い方は画面の中央に置かれたバーに検索語またはアドレスを入力するだけ。Webページを表示すると右下にごみ箱のアイコンが表示されるので、それをタップすれば履歴を残さずスタート画面に戻る。
追跡広告、アクセス解析、ソーシャル追跡を標準でブロックするようになっており、これが通信量の節約とコンテンツ表示のスピードアップにつながっている。
また、設定を変えることで、他の追跡コンテンツやWebフォントもブロックできる。おもしろいのはステルスモードで、初期設定で有効化されているが、コンテンツのスクリーンショットを撮影できないようになっている。
しかし、その反面、Android版Firefoxにあるようなタブ、ブックマーク、アドオンによる拡張などの機能は省かれている。プライバシー保護を重視したアプリなので、デスクトップ版Firefoxとの同期機能も存在しない。ブラウザを含む別のアプリで開く機能はあるし、Firefoxとの併存も可能なので、Mozillaとしてはフルブラウザが使いたければそちらをどうぞ、という趣旨なのだろうが、コンテンツの閲覧と共有に特化した、かなり割り切った仕様といえる。
この仕様ゆえに、Focusはサブブラウザという位置づけにならざるを得ない。しかも、コンテンツの閲覧に関しても、ログインが必要なものだとパスワードマネージャがないので毎回IDとパスワードを入力することになる。案外使いどころが難しい。
強みである軽快さを生かして、ニュースアプリと組み合わせるのは1つの手だろう。常にFocusで開く設定にしておき、ブックマークしたいものが出てきたらメインブラウザで開き直せばいい。
また、検索はGoogleが初期設定なので、Google検索アプリにノイズを残さず検索する手段としても使えそうだ。Googleをちょっとした調べ物に使う人は多いと思うが、アカウントと紐付いた履歴に、おそらく再利用されない検索語が残るのはあまりいい感じがしない。そんなとき、フルブラウザの匿名モード(FirefoxのプライベートタブやChromeのシークレットモード)を使うよりもFocusはずっと手軽だ。
メインブラウザを選ばないサブだからこその使い道は、ほかにもあるはず。ただ、欲を言えばAndroid版Firefoxと一緒に使うことで、プラスαのメリットがあるようにしてほしい。