Mozilla Flux

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Android版Firefoxを設定と拡張機能でカスタマイズ

ユーザーは増えたがシェアはまだまだ

以前Android版Firefoxの各種機能を紹介したのは、2014年6月、バージョン30がリリースされたときだった。それから2年近くが経ったので、バージョン45をベースに情報を更新しておきたい。

まずはAndroid版Firefoxのアクティブユーザー数について。"Are We Stable Yet?"でMozillaが公開しているADI(Active Daily Installations)の数字を見てみよう。過去記事で、2014年5月25日から6月1日までの平均値は、Betaチャンネルが66.43k、Releaseチャンネルが3.08Mとなっていたが、2016年3月16日から4月1日までの平均値は、以下のとおりである。

Nightly Aurora Beta Release
ADI 1.25k 1.83k 138.47k 6.07M

Beta/リリースチャンネルの数字が2014年当時の2倍程度に増えているのがわかる。もっとも、2015年のスマートフォンの出荷台数が12億9000万台以上と推計されているのに比べると、大きな数字ではない。ちなみに、NetMarketShareのデータによれば、2016年3月時点でモバイル版Firefoxのシェアは0.66%である。

次に、Mozilla Add-ons(AMO)のAdd-ons for Firefoxに登録された拡張機能の数を比較してみよう。過去記事で、2014年6月8日時点の登録数は、デスクトップ版向けが15カテゴリにのべ17,738個、Android版向けが10カテゴリにのべ236個となっていた。今回、2016年4月3日現在の登録数を調べたところ、デスクトップ版向けが15カテゴリにのべ24,110個、Android版向けが10カテゴリにのべ1,529個という結果だった。

デジタル署名の強制や、マルチプロセス機能(e10s)の導入、XUL/XPCOMの廃止予定のアナウンスといった逆風にもかかわらず、デスクトップ版Firefox向け拡張機能の数が3割以上増え、Android版Firefox向け拡張機能の数に至っては、驚異の548%増となった。絶対数としても1,500個は大きい。目当ての機能が見つかる可能性は、過去に比べてぐっと高まったといえるだろう。

機能の充実とカスタマイズ範囲の拡大

Android版Firefoxのユーザーインターフェイス(UI)は、バージョンアップに伴って少しずつ改良が加えられており、便利な機能も増えた。だが、デスクトップ版のようにニュースで取り上げられる機会が少ないので、案外気付いていないユーザーも多いのではないだろうか。

また、用意された設定を変えるだけでも、使い勝手はけっこう変わるものだ。たとえば、メインメニューの〔設定〕を選択して、〔一般〕内にある「全画面表示でブラウジングする」のチェックを外す(同機能を無効にする)と、ページをスクロールしてもツールバーが自動的に隠れなくなる。以下ではこうした機能や設定について紹介していく。

余談だが、Firefox 45では、設定画面の項目が再構成された。使いやすさに配慮し、1年近くをかけて試行錯誤を繰り返した成果である。

外部アプリとの連携など

設定画面の〔一般〕内にある「複数のリンクを開く」のチェックを入れる(同機能を有効にする)と、他のアプリケーションから送られたURLをバックグラウンドで開くようになる(Firefox 42以降)。タブ・キューの別名を持つこの機能は、アプリとの連携で力を発揮する。

たとえば、はてなブックマークアプリで記事を「外部ブラウザで開く」場合、この機能を有効にしていると、Firefoxがいきなり起動するのではなく、タブが保存された旨のメッセージが表示される。Androidの通知画面にもタブがある旨の通知が出る。ここでFirefoxを開くと、保存されていたタブが一挙に開かれる。この挙動は、Twitterでもfeedlyでも同じだ。なので情報収集は各種のアプリで行い、選別してFirefoxに集約させるという使い方ができる。

若干注意が必要なのは、多数のタブを一挙に開いた場合、ときどき読み込みが中断するタブがある点だ。初期設定でタブ・キューが有効化されていないのはこのためだろうが、対処方法はある。読み込みが止まってしまったタブのロケーションバーを長押しして、サブメニューの「アドレスをコピー」でURLをコピーし、もう一度ロケーションバーを長押しして、今度は「貼り付けて移動」する。これでページが読み込まれるはずだ。

機能の面では、ブラウザ外に検索画面を表示させることが可能である(Firefox 35以降)。Androidのホームボタンを押して、上向きにスワイプすると出現する。Firefoxと共通の検索履歴が使えるほか、Firefoxを終了させると一緒に閉じられるという特徴がある。

省データ化

設定画面の〔高度な設定〕内にある「画像を表示」をタップすると、デフォルトの「常に表示」のほかに、「Wi-Fi利用時に表示」と「ブロック」を選択できる(Firefox 45以降)。ここで「ブロック」を選ぶと、Webページを開いても画像は表示されなくなるが、画像を長押ししてサブメニューの「画像を表示」をタップすると、その画像のみブロックを解除できる。つまり、この機能を有効にすると、表示する画像を選択してデータ使用量を節約できるわけだ。

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タブの管理

タブを閉じた場合、直後であればアンドゥできる仕様になっているが、アンドゥのタイミングを逃してしまっても、ホーム画面の〔最近閉じたタブ〕パネル(Firefox 33以降)を使えば開き直せる。「すべて開く」をタップすれば、まとめてアンドゥも可能だ。

また、複数のタブを開いた状態でツールバー上の数字が書かれたタブアイコンをタップすると、開いているタブのサムネイル画像が表示されるが、このとき画面右上のメニューボタンを押すと、「すべてのタブを閉じる」というメニューが出てくる。これを使えば1つ1つタブを閉じていく手間が省ける。

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さらに、メインメニュー内の戻る/進むボタンを長押しすると履歴が表示される(Firefox 40以降)。同一のタブの中でリンクを辿っていった場合、以前なら最初のページに戻りたいときは戻るボタンを何度も押していたが、もはやその必要はない。

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パネルのカスタマイズ

Firefox 29以降、ホーム画面のパネルの表示/非表示を調整できるようになっていたが、Firefox 31以降、パネルの並び替えも可能となった。設定画面の〔一般〕内にある〔ホーム〕を選択し、パネル欄の項目を長押しすると、「デフォルトに設定」、「表示(または隠す)」、「並べ替え」のサブメニューが表示される。「並べ替え」をタップすると、さらに「上に移動」と「下に移動」が表示されるので、これによってパネルの並び替えを行う。

ちなみに、筆者の環境では、項目のうち「トップサイト(よく見るページ)」と「同期されたタブ」は非表示にして、「履歴」「最近閉じたタブ」「ブックマーク」「リーディングリスト」の順に並べ、「ブックマーク」をデフォルトに設定している。

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また、Firefox 44以降、起動時に表示するホームページに、よく使うサイト以外のものも設定できるようになった。上記と同じく〔ホーム〕内に、ホームページ欄がある。「ホームページを設定」を長押しすると、サブメニューに「カスタム」が出てくるので、それを選んで好きなURLを入力すればOKだ。入力エリアを長押ししてURLを貼り付けることもできる。

データの管理

Firefox 32以降、履歴パネルから履歴を消去できるようになった。パネルの最下部に「閲覧履歴を削除」の欄が出ているので見つけやすい。

また、Firefox 33以降、メインメニューから「終了」を選択したとき、自動的にプライベートデータを消去できるようになった。この機能を有効にするには、設定画面の〔プライバシー〕内にある「終了時にプライベートデータを削除」にチェックを入れる。ちなみに、設定画面の「プライベートデータを削除」をタップするとサブメニューが現れ、削除するデータの種類を選んでデータを消去できる。

さらに、Firefox 42以降、保存されたログイン情報を一覧し、個別に編集したり、削除したりすることが可能となった。メインメニューの〔ツール〕から〔ログイン情報〕を選択する(または設定画面の〔プライバシー〕内にある「ログイン情報の管理」をタップする)と、ログイン情報の一覧が表示されるので、個別の項目をタップすると、「パスワードを表示」などとともに「ログイン情報を編集」や「削除」のサブメニューが表示される。ここから編集や削除が可能だ。

おすすめの拡張機能を紹介

Android版Firefoxの拡張機能は、総じて一定の用途に特化したものが多く、これ一つで何でもできるという形にはなっていない。利用目的に合った拡張機能を見つけるのはそれなりに時間がかかるので、筆者が常用している拡張機能を紹介しておく。自分で探す場合は、AMOで「おすすめ」や「高評価」の一覧を眺めるのがいいだろう。

アドオンマネージャを開くときは、メインメニューの〔ツール〕から〔アドオン〕を選択する。

Quick Gestures

Quick Gesturesは、一本指ジェスチャでFirefoxを操作できるようにする拡張機能だ。タブを閉じる、履歴を戻る/進む、一番上へ/一番下へスクロールといった処理があらかじめ登録されているが、ジェスチャと実行したい操作との関係をユーザーがカスタマイズすることも可能。アドオンマネージャで〔Quick Gestures〕をタップし、設定ページを「開く」と設定の一覧が表示されるので、項目に大文字の「U」「D」「L」「R」を入力すると、「上(Up)下(Down)左(Left)右(Right)」に対応したジェスチャに再定義される。

筆者は、「前のタブ」と「次のタブ」そして「フルスクリーン」のジェスチャを削除し、「DRL」に「タブを閉じる」を、「DLR」に「Firefoxを終了」 をそれぞれ割り当てて、片手でFirefoxを操作できるようにしている。

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uBlock Origin

uBlock Originは、高効率を謳う広告ブロック用の拡張機能だ。Adblock Plusのように自分でフィルタを登録する必要はなく、アドオンマネージャで〔uBlock Origin〕をタップし、「ダッシュボードを表示」させると、「外部フィルター」の欄にフィルタの一覧が表示されるので、そこから選択すれば有効になる。「地域、言語」のカテゴリにはk2jpさんがメンテナンスしているABP Japanese Filtersの項目があるので、忘れずにチェックを入れておこう。

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QuitNow

QuitNowは、メインメニューに〔終了〕の項目を追加する拡張機能だ。FirefoxはAndroid OSのガイドラインに従って、あえて〔終了〕の項目を設けていないのだが、ユーザーとしては明示的にアプリを終了させる手段を残しておきたいところ。上記のとおりFirefox本体の設定には本体終了時にプライベートデータを消去するものが含まれており、MozillaもユーザーがアプリとしてのFirefoxを終了させることは想定済みなのだろう。

NextPage for mobile

NextPage for mobileは、メインメニューに〔Prev Page〕と〔Next Page〕の項目を追加する拡張機能だ。項目をタップすることで前後のWebページに移動できる。最近はスマートフォンでの閲覧に配慮しないWebサイトはかなり減ってきたが、次のページに移動する場面では、まだまだこの拡張機能は役に立つ。

Site Searcher

Site Searcherは、メインメニューに〔Search site〕の項目を追加する拡張機能だ。タップすることでGoogleのサイト内検索ページを開くことができる。スマートフォンで調べ物をする機会が増えるにつれて便利さを実感できるだろう。

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