Mozilla Flux

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Firefox ESRを継続して使うために

Firefox ESR 24から31へ

Firefoxの法人向け延長サポート版であるFirefox ESR 31が2014年7月22日(米国時間。以下同じ)にリリースされ、ESR 24のサポート終了が10月14日に迫っている。もともといくつかリリースを重ねた段階で打ち切られる予定だったFirefox ESRだが、最近、今後も継続していくことが発表された。Chromeが企業向けサポートを提供する中、少なくとも200万のユーザーがいるというチャンネルを維持するのは賢明だろう。

では、Firefox ESR 24のサポートが切れた時点でESR 31に移行するとして、両者の目立った違いは何だろうか。Mike's Musings「The Next Firefox ESR (31) is Almost Here」によれば、まずはAustralisだ。ユーザーインターフェイスが大幅に刷新されたわけだが、馴染めないのであれば、Classic Theme Restorer (Customize Australis) というアドオンを利用すれば、かなりの程度までAustralis以前の姿に戻すことができる。

また、Firefox SyncがFirefoxアカウントベースの新しいものに置き換えられたほか、Configurable Security Policies(CSP)も削除されている。ただし、CSPの削除は企業ユーザーへの影響が大きいため、Webページからローカルファイルにリンクする機能は残された。

以上に加え、プラグインがデフォルトでクリック・トゥ・プレイ化(CtP)されたことも大きい。CtPとは、Webページが読み込まれた時点ではプラグインが自動的に有効にならず、ユーザーがプラグインのコントロールする領域をクリック(スマートフォンやタブレットではタッチ)した時点で初めてプラグインが有効になる仕組みのことだ。例外的に、Adobe Flash Playerプラグインや、アドオンにバンドルされたプラグイン(Bug 982101)は常に有効になるよう設定されている。

CtPを解除するには

CtPのデフォルト化に伴い、企業ユーザーが自社で開発したプラグインをFirefoxにインストールしている場合も、自動的に有効にならなくなってしまう。いちおうFirefox本体にはCtPの例外を認めるホワイトリストの仕組みが備わっているものの、これはプラグインを開発して一般向けに公開している企業を念頭に置いて、Web標準を用いた代替策を講じるまでの猶予期間を提供する目的で設けられたものだ。ホワイトリストに掲載されるには、申込み時にNPAPIベースのプラグインからの移行プランを示す必要があるうえ、掲載期間は30週間で、24週間の延長が1回だけ可能という厳しい制限付き。それでいて掲載の可否はMozillaの自由裁量に委ねられ、掲載期間中に外されることさえあり得る。実際のリストを見ても大手企業が多く、内製のプラグインを対象にしたものでないことは明らかだ。

幸い、Mike's Musings「Plugins Click-To-Play by Default in Firefox 31 ESR」では、内製のプラグインにも適用可能な4つの方法が紹介されている。

1つ目は、about:configにおいてplugin.default.stateの設定値を2に変更する方法だ。こうすることで、CtPはデフォルトでなくなる。言い換えれば、従来どおり全プラグインが読み込み時に自動的に有効になる。

2つ目は、plugin.state.FILENAMEの設定値を追加する方法だ。FILENAMEにはプラグインのファイル名を小文字で記載し、末尾の数字などは付けない。たとえばWindows版でplugin.state.nppdfの設定項目を追加し、値を2に設定すると、Adobe AcrobatプラグインだけがCtPから外れる。

3つ目は、CCK2 Wizardというアドオンを利用して、設定をカスタマイズしたFirefoxを作成し、特定のドメインを対象にプラグインを有効化する方法だ。ちなみに、このアドオンの作者は、上記Mike's Musingsのブログ主である。

4つ目は、Click-to-Play Managerというアドオンを利用し、特定のドメインを対象にプラグインを有効化する方法だ。

手っ取り早く対処するなら1つ目の方法だが、セキュリティを犠牲にしないためには他の選択肢も考慮に値するだろう。いずれにせよ、対処法は確立されており、CtPはFirefox ESR 31に移行する際の障害にはならないといえる。