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Firefox 4.0はIE9より先に登場し、機能で上回る

Publickey『[速報]Internet Explorer 9初披露、HTML5対応、DirectXで描画。Silverlight 4は今日からβ公開』を読んで、いちばん驚いたのは、次の一文だ。

Internet Explorer 9は開発が始まってまだ3週間とのこと。

もちろん、方向性を決めたりとか、コードを書く前の設計の部分では、いろいろ作業をしていたのだろう。それでも、IE8のリリースが今年3月だったことを考えると、10月の終わりころから本格的な開発を始めたというのは、遅い。はっきり言って、遅い。

IE9は、Windows専用とはいえ、複雑で巨大なアプリケーションだから、当然開発には相当な時間がかかるはず。最初のβ版が出るのは、どんなに早くても2010年夏以降だろう。そこから、テスト期間が丸1年いる。企業ユーザを含め、高いシェアを誇るだけに、互換性を維持するのがたいへんだ。機能うんぬんよりもむしろ、そちらの調整に労力がかかるのではないか。とすると、正式版のリリースは2011年夏以降。

対するFirefox 4.0は、2010年中のリリースが目標で、仮に遅れても2011年の第1四半期には登場する。PDC09のスピーチでIE9の機能の大枠が示されたのだとすれば、IE9が出るころには、Firefoxを含めたモダンブラウザ勢はずっと先に進んでいると予想される。

Microsoftは新開発のJavaScriptエンジンの性能がFirefox 3.6やGoogle Chrome 4に近づいたことを誇ったらしいが、そのラインから数十%高速化するにはものすごくエネルギーがいることに注意すべきだ。高速化と安定性の確保を両立するのは並大抵のことではない。本当なら、ブレイクスルーとなるような技術を既に見つけていて、プロトタイプの段階でChromeを超えているくらいでないといけない。今の時点で最先端に届いていないようでは、IE9の正式版リリース時にも最後尾のままだろう。

Firefox 4.0は、マルチプロセス化を実現し、UIを一新し、タスク指向の処理が可能となり、個人情報の管理とバックアップまで担う。ChromeがOSの窓口になることを指向するのだとすれば、Firefoxはそれ自体がOSに近づいていくのかもしれない。ただ、その帰趨はどうであれ、どうやらInternet Explorerが主導権を握ることがないのは確かなようだ。