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Thunderbird 3 Beta 4がリリース:完成が近づく

Thunderbird 3 Beta 4がリリースされた。Mozilla MessagingのWebサイトから日本語版を含む各国語版がダウンロード可能になっているほか、Beta 3以前のBeta版ユーザーにはアップデートが提供されている。対象に当たる方は「ソフトウェアの更新を確認」をチェックしてみてほしい。

リリースノートの更新点の個所を見ておこう。ただし、これまでのBeta版における改良点も入っている。

Thunderbird 3 Beta 4の更新点

Thunderbird 3 Beta 4は大きな再設計を含むGecko 1.9.1.3プラットフォームをベースにしており[Firefox 3.5.3と共通]、パフォーマンス、安定性、Web互換性が向上し、コードがシンプルで持続可能なものとなっています。
このリリースでは200以上の変更が加えられていますが、多くは将来の変更のための基礎作業です。注目の変更個所は以下のとおり。

新しい検索と強化されたフィルタリングツール

新しい検索と強化されたフィルタリングツール
検索結果に強化されたフィルタリングツールが加わりました。ユーザーの選択により、結果を差出人、タグ、添付ファイル、人、フォルダ、メーリングリストによってフィルタリングできます。また、タイムラインツールを用いたメールのフィルタリングも可能です。
自動補完機能つきの新しいグローバルサーチフィールド
グローバルサーチフィールドでタイピング中、Thunderbirdはアドレス帳をもとに自動補完を行います。ユーザーの選択により、あらゆる場所から検索することもできますし、件名あるいは差出人といった特定の部分に絞ったうえでの検索もできます。

ユーザー体験の向上

新しいメールアカウント設定ウィザード
新しいメールアカウント設定ウィザードは、知名度の高いプロバイダのメール設定を集めたデータベースと照合を行います。ユーザーが新たなメールアカウントをセットアップするのに必要な作業は、名前、メールアドレス、パスワードの入力だけです。
メールツールバーの再デザイン
メールツールバーは新しいグローバルサーチバーを含むよう再デザインされました。返信、転送、削除、迷惑メールといったボタンは各メールメッセージの一部となっています。これらのボタンをメインツールバーに追加し直したいときは、ツールバーをカスタマイズしてください。
メールメッセージのタブ表示
メールメッセージ上でダブルクリックするか、Enterキーを押すことで、メッセージが新規タブウィンドウに開きます。メッセージやフォルダを中クリックすれば、背景タブに開きます。Thunderbirdの終了時には見えているタブが保存され、次回起動時に復元されます。タブツールバーには新しいタブメニューがあり、タブの切り替えに役立ちます。
スマートフォルダ
フォルダペインにはスマートフォルダが設定され、複数のアカウントに存在する特殊なメールボックス、たとえば受信トレイを結合します。スマートフォルダはデフォルトでオンになっています。
新しいメッセージサマリービュー
複数のメッセージを指定することで、指定したメールの要約を見ることができます。
見出し幅
表示されている見出し幅とその表示順は、フォルダ単位で設定されるようになりました。
メッセージアーカイブ
受信トレイその他のフォルダにあるメッセージを、新しいアーカイブフォルダにファイルしておくことが可能です。
活動記録マネージャ[イベントログの管理]
活動記録マネージャ[イベントログの管理]は、Thunderbirdとメールプロバイダとのやりとりすべてを一個所に記録します。
新しいアドオンマネージャ
新しいアドオンマネージャ(ツール > アドオン)は、拡張機能、テーマ、プラグインを含むThunderbirdアドオンを探し、ダウンロードし、インストールできるようになりました。ただ、リリース時点でこのBeta版と互換性のあるアドオンは少なく、アドオン開発者によるアップグレードが必要である点に注意してください。
改良されたアドレス帳
既にアドレス帳に登録されている場合、新しいスターアイコンで示され、アイコンをクリックすると連絡先の詳細をインラインで編集できます。アドレス帳に未登録の場合、スターアイコンをクリックするだけで追加できます。誕生日のフィールドが加わり、あなたの友人たちの誕生日をチェックできます。また、アドレス帳の連絡先に写真を含めることも可能です。
Gmailとの統合を強化
送信済みメールやゴミ箱といったGmailの特殊なフォルダをよりよく認識し、統合するようになりました。これは英語版以外のGmailでも同様です。Thunderbirdは「すべてのメール」をアーカイブフォルダとして使用します。
Windows Vistaユーザー向け
Thunderbird 3はVistaの検索結果と統合されます。初回起動時にThunderbirdは独自のインデックスシステムをWindows Vistaにインストールするかどうか尋ねます。ユーザーの選択により、ThunderbirdのメールとニュースのメッセージをWindowsの検索結果に含めることができます。
Macユーザー向け
Thunderbird 3は、Mail.appからインポートし、OS Xのアドレス帳にアクセスし、新着メールの通知手段としてGrowlを使うことができます。

パフォーマンスの改善

IMAPフォルダの同期
Thunderbirdは、IMAPメッセージをバックグラウンドでダウンロードする方式をデフォルトとするようになり、メッセージのロードが高速化され、オフラインでの操作がしやすくなりました。この機能は、フォルダのプロパティから個々のフォルダ単位で有効化できるほか、アカウント設定の「同期とディスク領域」からアカウントの全フォルダに対して設定することもできます。

変更点の解説は当ブログでも別記事で行いたいと考えているが、現時点で次のものが出ている。

Mozilla Re-Mix: 【Thunderbird 3 Beta 4】リリース。スマートフォルダなどの新機能を搭載。

Thunderbird 3 Beta 4 リリース - えむもじら

(09/09/27追記)The Rumbling Edge『Thunderbird 3 Beta 4 Released』で変更点一覧が公開されている。

ついに完成が近づいてきたThunderbird 3。11月中にはRC1がリリースされると見られており、そろそろ試しに利用してみようかと思う人も少なくないはず。そこで、既知の問題点も紹介しておく。

既知の問題点

このリストは、Thunderbird 3 Beta 4の既知の問題の一部をカバーするものです。新しいバグを報告する前にこれをお読みください。

全システム

  • マスターパスワードを利用しているか、過去に利用していたことがある場合、Thunderbirdの初回起動時にマスターパスワードの入力を求められるかもしれません。(Bug 338549
  • パスワードは新しい場所に保管されています。前のバージョンのThunderbirdに戻したときや、Beta 3とそれより古いバージョンを切り替えて使うときは、パスワードのリストが更新されません。
  • SSLあるいはTLSを使用し、サーバーからの証明書が自己署名、期限切れあるいはサーバーのドメインと一致しないドメインのものであった場合、ダイアログが現れてThunderbirdがその証明書を恒久的な例外とすべきかを尋ねます。エラーについて理解できる場合にのみ、そのような例外とすべきです。
  • ある人がアドレス帳に二つのメールアドレスを有していた場合、メールメッセージの作成中に自動補完の対象として表示されるのは一つのメールアドレスだけです。(Bug 447927
  • フォルダペインにおけるカラムの拡張はBeta 1で削除されました。この機能を復元するアドオンが存在します。
  • コンパクトヘッダビューはBeta 3で削除されました。(Bug 480623)詳細はこのブログエントリ[英文]を参照。
  • Thunderbirdは拡張機能がHTTPSプロトコルを使用する安全なサーバーに由来するかデジタル署名されていることを要求し、これに合わないときはインストールできません。

Microsoft Windows

  • 「すべて既読にする」のキーボードショートカットがCtrl+Shift+CからShift+Cへと変更されています。