Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

先週のミーティング情報から 090816版

先週はThunderbirdの定例開発者ミーティングが開かれなかったほか、全般的にミーティングでの発表は低調だった。そこで、関連情報を交えて綴っていく。

Platform/2009-08-11で目立ったのは、Contentチームからの報告。infallible mallocの実装が間近とされ、マルチプロセス化に関しても、ネットワーク部分の実装が開始された。HTML5やXBL2についても開発が進んでいるという。なお、JetPackのセキュリティモデルをMozilla Labsと研究中だとか。

JavaScriptチームはECMAScript 5のサポート状況などを報告していた。

上記ミーティングに関連して興味深いのが、Murali Nandigama氏の『Blocker Bugs Data Visualization』だ。Firefox 3.6のBlockerバグとBlockerにノミネートされたバグをグラフ化する試みである。グラフを見ると、たとえばBlockerバグが多いコンポーネントはJavaScript Engineだといったことが一目でわかる。

DeliveryMeetings/2009-08-12では、Firefox 3.6のリリースまでに、プラグインのバージョンをチェックする仕組みを導入できないかが論じられた。これは、MozillaのWebサイトにチェック用のページを用意して、アクセスしてきたFirefoxにインストールされたプラグインを調べ、Mozillaが保持している最新版リストよりも古いバージョンが検出された場合は、そのプラグインのダウンロードページへのリンクが表示されるというものだ。

Firefox使用時の不具合に関して原因を探っていくと、プラグイン関係のトラブルであることも珍しくない。ユーザーに最新のプラグインを使ってもらえれば、Mozillaとしてはトラブルの減少が期待できるし、また、ユーザーにとっても安全・快適なブラウジングができてメリットがある。

ただ、プラグインのベンダーからの協力が必要なため、Mozillaがサポートできるプラグインは限られてくる。それでも、Plugin Update Referralsによれば、最低でも次のものは入るという。

  • Apple (Quicktime)
  • Adobe (Flash, Shockwave, Reader)
  • Microsoft (Silverlight)
  • DivX
  • Sun (Java)

Plugins:PluginCheckにはモックアップも展示されている。今後どうなるか楽しみだ。

もう一つ、Mozilla Add-onsから、「SPEC: Disclosure of Add-on Practices」と「SPEC: Add-on Compatibility Reporter」という二つの仕様が公開された。

前者は、アドオン作者が登録アドオンの振る舞いについて事前に申告する仕組みで、Firefoxの設定変更の有無などを質問される。例のNoScript騒動を受けての措置らしい。

後者は、テスター向けのアドオンで、インストールするとアドオンの互換性チェックを外すよう促してくる。その後、ユーザーがアドオンマネージャからそれぞれのアドオンが正常に動作しているかどうかを選択すると、レポート画面が表示され、ユーザーが送信を選ぶと、Mozillaにデータが送られるという。

Test PilotMozilla QA Companionと同様に、テスターの敷居を下げる試みと位置づけられる。昔よりも圧倒的にユーザーが増えた現在、こうしたテクノロジーによる補助を通じて、顔の見える範囲を超えてテスターを組織化する流れになるのは当然と言えよう。