NetApplicationsが8月1日付けでシェア一般の算出方法を改訂したため(『Country Level Weighting』)、2009年5月分とは連続性を失っているが、7月のFirefoxシェアを見ていこう。
同社の月例統計によれば、2009年7月時点におけるFirefox全体のマーケットシェアは、22.47%となっている。新方式が遡って以前の統計にも適用されることになったため、それらと比較すると、5月が22.75%だったのに対し、6月は22.43%といったん落ち込んだものの、7月はやや持ち直した形だ。
Firefox 3.5がリリースされた影響は思いの外小さかったといえる。今後の動向は要注目で、新バージョンが出たのにシェアの横ばいが続くようだと、何らかの梃子入れが必要になってくる。
ここで、ライバルの動向についても触れておく。
IE | Safari | Chrome | Opera | |
---|---|---|---|---|
2009年5月 | 68.10% | 3.70% | 2.18% | 2.06% |
2009年6月 | 68.32% | 3.79% | 2.40% | 2.03% |
2009年7月 | 67.68% | 4.07% | 2.59% | 1.97% |
Internet Explorerは今回の算出方法の変更を受けて、数%シェアが上方修正されたのだが、7月に入って落ち込んでおり、傾向としては低落に歯止めがかかっていない。一方、Safariは明らかにシェアを伸ばしているものの、旧統計と比較すると数値が半減してしまったので、インパクトに欠ける。
新しい算出方法では、ある国からのトラフィック量だけでなく、その国のインターネット人口も考慮するようになった。純粋にトラフィック量だけをベースにすると、ブロードバンド回線が整備された先進国の使用状況が反映されやすい。回線の整備が遅れていても、インターネット人口が多い国も存在するから、世界のマーケットシェアを測るには、人口を加味した補正が必要になるというわけだ。その結果、米国でのシェアが突出していたSafariは、世界規模で見るとシェアが押し下げられてしまった。
逆に、Operaは東ヨーロッパやアジアでシェアをもっていたことが有利に働き、全体で2%前後のシェアになっている。
そんな中、Google Chrome(以下Chrome)は補正によって従来よりも多少シェアが上がっただけでなく、5月から7月までの間に着実にシェアを増加させている。使用地域の偏りが少なく、それでいて勢力を拡大させているわけで、その強さは本物だ。
ちなみに、StatCounterが提供する7月のシェアは、Firefoxが30.5%となっている。5月は28.75%だったので、増加傾向ということになるが、全般的にFirefoxに甘い数字のため鵜呑みにはできない。
次に、NetApplications調べによるバージョン別のシェアでは、Firefox 3が16.21%、Firefox 3.5が4.54%(前月+4.10%)である。Chrome 2.0が2.37%であることからすると、Firefox 3.5の絶対的なシェアは決して低くない。
ちなみに、新方式で最もシェアが増加したのはInternet Explorer 6.0である。旧方式で5月に16.94%だったものが、30.15%へと大幅に補正され、7月時点でも27.21%ある。国によってはまだまだIE6が現役のところも多いということなのだろう。日本ではあまり関係なさそうだが、世界中からアクセスが集まるようなWebサイトだと、IE6を切り捨てにくくなったかもしれない。
ただ、5月に5.95%だったIE8のシェアは、7月に12.46%に達した。Windows 7搭載のPCがユーザーに買い換えを強く促すならば、年末あたりから急激にIE6のシェアが減っていくシナリオも考えられる。
最後に、8月のシェアを予想しておく。NetApplicationsの統計を前提とするかぎり、Firefoxを取り巻く状況はあまりよくない。3.5のリリースで停滞状況の打破が期待されたものの、いまだに成果は出ていないし、IEの減少分は、SafariとChromeに喰われ、Firefoxに回ってきていないように見える。Firefox 3ユーザーのアップデートは進むだろうが、様子を見ている新規ユーザーを取り込まないと全体の数字は上向かない。早くも難しい状況に差しかかりつつあり、Firefox 3.6を早期に投入するという解決策はどうやら正しいようだ。