Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

AMOの主眼は「おすすめ」からコレクションへ

Mozilla Add-ons(AMO)がリニューアルされ、デザインが大幅に変わっただけでなく、コレクションと呼ばれる新機能が導入された。変更点の概要は『Firefox Add-onsからAdd-ons for Firefoxへ』で紹介したので繰り返さないが、ポイントは、特定のアドオンに人気が集中しすぎないよう配慮したところにある。

Piroさんが『ツリー型タブがおすすめされた結果がご覧の有り様だよ!』で書いているとおり、スタッフのおすすめに選ばれるかどうかは、これまでアドオンのアピールにとって極めて重要だった。おすすめに選ばれたとたん、ダウンロード数が跳ね上がり、常用ユーザー数も目立って増える。逆にいえば、個人開発者がAMOでアドオンを公開しても、なかなか注目を浴びにくかったのである。

コレクションは、この状況を打開する切り札だ。強く期待されている様子は、たとえば、Mozilla Blogの紹介記事がコレクションに焦点を当て、デザインの変更にさらっとしか言及していないあたりにも見て取れる。

この機能の導入により、AMOの登録ユーザーは、テーマや好みに沿ったアドオンのリストを作成して公開・共有できるようになった。別のユーザーが作ったリストを自分のお気に入りに登録すれば、簡単にアドオンの一覧を眺められるし、設定によっては、一つのリストを複数のユーザーが共同して編集することも可能だ。ちなみに、リスト作成者は個々のアドオンごとにコメント(personal note)を付けられる仕組みである。

コレクション機能を最大限に活かすべく、AMOから提供されているのが、Add-on Collectorというアドオン。利用にはAMOのアカウントが必要で、アドオンマネージャに統合され、登録済みのリストを表示してくれるので、ユーザーは掲載されたアドオンをインストールしたり、自分のリストに追加したりできる。加えて、自分が作成したリストにインストール済みのアドオンを個別に追加できるほか、インストール済みのアドオン全体を自動的にリストへと変換して発行する機能まで備えている。

とはいえ、誰かが作ったリストをいくつか参照したいだけなのに、アカウントまで取得するのは面倒だという人もいるだろう。そのような人のために、AMOは個々のリストをRSSで配信するようにした。フィードリーダーなどに登録しておけば、更新時に通知を受け取れる。

新しいAMOのフロントページを見れば一目瞭然だが、コレクションが目立つところに配置されている。ファーストビューでMozilla作成のリストが表示される点に注目してほしい。これまで、その位置にはスタッフのおすすめが表示されていたのである。それが今では画面の下側に追いやられ、しかもキャプチャ画像まで削られてしまった。むしろMozilla作成のリストに含まれたアドオンこそがアピールに成功しており、「おすすめ」中心の時代が終わりを告げたことを示している。

コレクション時代の到来により、以前と比べて多数のアドオンが宣伝されるだろう。機能的には優れているのにチャンスに恵まれなかったアドオンにも、光が当たるだろう。結果、アドオンのダウンロード数や常用ユーザー数は、太いロングテールを形成していくことが予想される。

今回のリニューアルは、それだけのインパクトを秘めているのだ。