Firefox 3.5はいまだコードフリーズに至らぬまま、複雑な動きを見せている。
まず、現時点でコードフリーズしてないことは、Blockerバグ(Bug 496532とBug 496605)が残っていることや、Trunkのtinderboxに「RESTRICTED」の文字が出ていることから明らかだ。
しかし、米国時間の6月5日はRC1のテストデー(二回目)に当たるため、参加者のためにNightly以外のビルドを用意しなければならない。また、RC1のコードフリーズを待っているとなかなかQAの作業が始められない。そこで、Firefox 3.5 BetaPreviewというビルドができた。説明によれば、RC1の先駆けだという。テストとQAはこのビルドを用いて進められ、後続のビルドは限られた事項だけチェックを受けることになりそうだ。
話がややこしくなるのは、その先である。昨日3.5b99への名称変更を紹介したが、実はFirefox 3.5 BetaPreviewはこの3.5b99を名乗っているものの、Shiretokoは3.5preのまま据え置かれた。すると、一つ考えられるのは、3.5b99はRC1の一歩手前を意味する暫定的な名称であって、すぐに変更されるのではないかということだ。
ところが、不思議なことに、MozillaWikiに「Firefox 3.5 Preview」向けのビルドノートが作られ、随時更新が行われている。もともとFirefox 3.5 RC1向けビルドノートは以前から存在していた。「BetaPreview=3.5b99」なら、「Preview=RC1」となり、RC1向けのビルドノートを更新していけばいいはずだ。コードが完成していない点を踏まえても、たとえばBuild0やBuild0.9など、表記を工夫すれば問題ない。
あえて「Firefox 3.5 Preview」の枠を設けた意味は何なのか。しかも、ビルドノートを見ると依然として3.5b99のタグを使用していて、リリース候補版であることを示唆する名称をわざと避けているようにも受け取れる。
ここで仮説として、Firefox 3.5 Previewを正式な名称にする可能性を指摘しておきたい。Beta 4の次はRC1ではなく、Previewというわけだ。
伝統的なリリース候補版の名称を使わないために、利用者が減ってしまうおそれは拭えないが、逆に考えると、プロセス上の縛りからも自由になれる。つまり、こういうことだ。もし「最終RC=正式版」という通念が存在するのなら、MozillaはRC1のリリース後に少しでも修正を加えたときは、必ずRC2を出してしばらく様子を見ねばならない。だが、6月中に正式版をリリースするには、その時間が惜しい。
これに対し、Firefox 3.5 Previewと銘打っておけば、そこに修正を加えたものをいきなり正式版としてリリースしても、ユーザーの予期を裏切ることはない。そうした合理性を背景にした判断のように思う。
おそらく近いうちにアナウンスがあるだろう。筆者の仮説は当たっているだろうか。