Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

Development Meeting 2009-05-26

重要な時期なので個別の記事として扱う。

今週のDevelopment Meeting(2009-05-26実施)より。なお、日付は米国太平洋夏時間(PDT)を基準にしているので、日本時間とはずれる。

Firefox 3.5のリリース日について

Firefox 3.5 RC1はまだコードフリーズに到達していない。先週半ばにBlockerバグが激減し、すぐにも作業を終えられそうな雰囲気だったのだが、最後の10個弱を潰しきれないでいるうちに、また増え始めた。これを書いている時点で実質的なBlockerが16個になっている。

これまでRC1のリリースを6月5日と予想してきたが、現状では6月第1週中のリリースは絶望的で、第2週にずれ込まざるを得ないだろう。ちなみに、Mozilla Japanのdynamisさんは、本ミーティングを踏まえた上で6月9日のリリースと予想している

しかし、不思議なことに、ミーティングの要旨を見ても、Bugzilla@Mozillaの動きを見ても、開発責任者たちからそれほど強い焦りを感じられない。6月中の正式版リリースを目指し、RC2を出すことも視野に入れるなら、RC1が6月第2週というのは危機的な状況のはずだ。ところが、さほど慌てた様子もなく、淡々と開発が進められている。

あるいは、開発者たちは、Firefox 3.5の出来に自信があるのかもしれない。また、RC1のリリース前にはテストデーがあるし、QAチームが作り上げたテストセットをクリアする必要もある。こうしたハードルを乗り越えれば、RC版が多数のユーザーの手に渡っても、致命的な不具合は出ないと読んでいるのではないだろうか。そして、致命的な不具合が出なければ、そのままリリースに持ち込む腹づもりであると推測される。

こうした推測を前提にすると、RC1のリリースは6月10日ころまで延びてもおかしくない。Firefox 3のとき、最終RCから正式版までは約1週間の間隔だった。6月17日はFirefox 3のリリース日であり、タイミング的にここを狙っている可能性がある。

もちろん、Mozillaの建て前は準備ができたときにリリースするということなわけだが、実際にはそう簡単ではない。Firefox 3.5というフラグシップ製品をPRすべく、マーケティング面で相当のリソースがつぎ込まれており、中には会場などの確保が前提のイベントも含まれているはずだ。こうしたものは日にちを動かすのが難しく、かといってその日までに製品が出ていないとイベントは著しく興ざめだ。それでいて、予約を入れておかなければ場所を使えない。これは一例にすぎないが、要するに開発以外のところで6月中のリリースを前提に物事が動き始めてしまっている。無責任な延期はできない状況なのだ。

したがって、RC1後のフィードバックを多少はコードに反映させるとしても、せいぜい2週間ほどで正式版のラベルを貼って出すことだろう。そう考えると、逆算のスタートとなるRC1のコードフリーズ時期は重要なのである。現時点での見積りは難しいが、早ければ28日までに作業を終え、29日のテストデーにMac OS X/Linux版だけでもビルドが間に合うようにするとみられる。遅くとも週末までには切り上げ、来週月曜日にはQAをスタートさせるだろう。

その他

Firefox 3.5ではsessionStorage機能をWHATWGのスペックに合ったものにするはずだった(Bug 455070)のだが、別のバグを引き起こすなどの問題が出たため、パッチがバックアウト(撤回)されることに決まった。今から修正して再投入するのは難しそうだ。

Fennec(Firefox Mobile)関連で興味深いのは、Blockerのフラグに「1.0b2+, 1.0b3+ & 1.0+」を使うと報告している点だ。現在Beta 2に向けて開発中だが、Beta 3まで予定しているように見える。その後はRCから正式版という流れになるのだろう。

最後に、Firefox 3.5のアイコン類はメインのもの以外も改訂が進められているようで、一覧表に項目や進行状況などが記載されている。リリースをブロックするものではないが、できるだけ多く取り込めればよいと考えているとのこと。

なお、メインロゴについても、5月26日版が本ミーティングで発表された。

(同日追記)Alex Faaborg氏のWebサイトで尻尾が色違いの別バージョンも公開された