Mozilla Flux

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Firefox 3.5でGeolocationを本格サポート

ITmedia Newsに『GoogleとMozillaが提携:Googleの位置情報機能、次期Firefoxで採用』という記事が出ているが、これについてFirefox側から開発者が解説した『Geolocation in Firefox 3.5 and Fennec』を読むと、内容の理解がより深まると思われる。

Firefox 3.5 Beta 4は、ユーザーがWebサイトと位置情報を共有できるようにするための標準規格、「W3C Geolocation Specification」(ただしドラフト)をサポートしている。これまでもMozilla LabsがGeodeというアドオンを出してはいたが、Geolocationを利用したサービスがなければユーザーにアドオンをインストールするメリットがなく、かといって一定のユーザーベースがなければサービスが出てこないというジレンマをかかえていた。そこで、Firefoxは3.1 Beta 1から本体にGeolocation機能を実装するようになり、それが改良されて現在に至っている。Fennec(Firefox Mobile)も同様にGeolocationをサポート済みだ。

しかし、実装といってもあくまで枠組みを提供するだけで、実際に位置情報サービスのプロバイダが存在しなければ、宝の持ち腐れだった。そのプロバイダにGoogleが名乗りを上げ、「Location Service」をFirefox 3.5やFennecで使えるようになるというのが、前記のニュースのポイントだ。この提携によって、ユーザーはFirefox 3.5をインストールするだけでGeolocation機能を利用できるようになった。

もちろん、ユーザーのプライバシーには最大限配慮している。そもそも、位置情報を参照してそれに応じたコンテンツを提供するWebサイトをユーザーが訪れなければ、何も始まらない。ユーザーはそこで、サイトが位置情報を知りたがっていると通知を受ける。明示的な同意があった場合にのみ、FirefoxはGoogleのサーバーとやりとりして位置情報を取得し、Webサイトがそれを参照できるようにする。Googleとのやりとりは暗号化される。、取得したデータはデフォルトで二週間クッキーに保存される仕組みなので、位置情報がずっとPC上に残り続けることはない。
(09/05/05追記)
コメント欄の あ さんのご指摘によって誤りを訂正する。二週間保存されるのは位置情報ではなくアクセス・トークンと呼ばれる識別子で、クッキーそのものではないが、「最近の履歴を消去」からクッキーを削除した場合は、同時に削除される仕様になっている。

位置情報の判別に使われるデータは、FAQを見るかぎりユーザー環境に依存するようだ。前記『Geolocation in Firefox 3.5 and Fennec』ではWiFiのアクセスポイントを例に挙げているが、携帯電話の基地局やIPアドレスなども対象に含まれるという。

あとは、この位置情報を使ってWebサイトがどういう魅力的なコンテンツを提供するかが利用者数を増やす鍵となるだろう。各社の腕が問われる。

(09/05/03追記)
Mozilla Web Development Blogの『Geolocation in the Browser』でAPIの解説が行われている。Firefox 3.5 Beta 4以降でアクセスすれば、動作の確認も可能だ。

(09/05/09追記)
「ページの情報」のサイト別設定にGeolocation機能も含まれるようになった