Mozilla Flux

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Taskfoxの国際化対応はどこまで進むだろう

Ubiquityをユビキタスに』にMozilla Japanのdynamisさんがコメントを付けてくださったのだが、その内容がとても重要なものだと思ったので、コメント欄でのやりとりにとどめず、新しい記事を起こす。

まず、筆者は前の記事で、mitcho氏の次世代パーサが「Firefox.nextに統合されたUbiquity(コードネームTaskfox)で力を発揮してくれそうだ」と書いた。これに対し、dynamisさんのコメントによれば、Taskfoxは自然言語を対象としないので、次世代パーサはFirefoxに統合されないという。

もちろん、Taskfoxは、あくまでUbiquityの一部を統合するものなので、次世代パーサを丸々Firefoxに統合するのはオーバースペックだろう。しかし、筆者が考えるのは、次のようなケースをTaskfoxでどう扱うのかだ。

たとえば、ユーザーがある場所の地図を見たくなったとしよう。英語圏のユーザーなら、「map New York」などとロケーションバーに入力するだろう。「map」は、英語の動詞としては「〜の地図を作る」という意味なので、多少違和感があるかもしれないが、「a map of New York」という言い方はあるだろうから、Firefoxに対するコマンドとして「map New York」と打ち込むことが語順に逆らっているわけではない。一方、日本語で「地図 東京(の)」と打ち込むのは、意味が通じなくはないものの、語順に逆らっている。ふつうは「東京の地図」だろう。いちおう「東京 地図」なら語順は合うが、検索の場面でもないのに、日本語の単語二つをスペースで区切る発想が自然に受け入れられるとは思えない。

Taskfoxが次世代パーサの成果を享受できれば、ユーザーが「東京の地図」と打ち込んでもFirefoxは対応できるはず。ところが、dynamisさんがmitcho氏から直接聞いたところによると、次世代パーサの開発ではTaskfoxについては考慮されていないそうだ。

ここで、『コードネーム:Taskfox』で紹介したように、最初にドロップダウンメニューからタスクを選ぶという操作の流れになっているから問題ない、との反論も考えられる。グラフィカルなメニューから「地図」というタスクを選べば、ユーザーがロケーションバーに入力するのは「東京」という言葉だけで足りるのだと。dynamisさんのおっしゃる、「まずやりたいタスクや操作したい対象を指示し、必要に応じて詳細を追加していくという作業フロー」は、そういうことだと筆者は理解している。しかし、英語圏のユーザーは、そのような選択肢も選べるし、いきなり「map New York」と打ち込んでもいい。なのに日本のユーザーは「東京の地図」というコマンドを使えず、「地図 東京」と打ち込まねばならない。

GUIと単語入力の組み合わせで操作自体はできるのだから、Taskfoxを動作させるのに支障はないといえばそれまでだが、もともとTaskfoxのアナウンスで、すべてのロケール(言語)を「一級市民」として扱うとあったので、前記のようなアンバランスが気になった。

とはいえ、dynamisさんも、「その成果がTaskfoxのコマンド国際化の仕組みを作るときに役立つことがあり得る」という控えめな形ではあるが、日本語の語順に適したコマンドが用意される可能性に言及されている。「助詞や構文の解析などを行わないTaskfox」というフレーズにはやや不安も覚えるものの、筆者は、必要最小限でいいので助詞の解析もTaskfoxに含めるべきだと考えている。

(09/04/11追記)
dynamisさんがこの件でわざわざ調べてくださった。詳細はコメント欄を見ていただくとして、その一部をここに引用しよう。

Taskfox ではサービスの選択(動詞)に対して一つだけパラメータ(対象、目的語)をとり、それ以外の詳細は(翻訳言語のように)順次ボタンで切り替えるなど、構文解析以外の高速、確実、使いやすい方法が採られるとのことです。

(中略)

動詞の位置や変化については何らかの対応を行うことが考えられています。実際に対応されるかどうかは未定らしいですが、動詞(サービス)の位置が最初か最後か判断するためだけ、程度であれば、何からのパース処理は入る可能性が高いです。

日本語の語順に従ってコマンドを入力しても、Taskfoxはちゃんと認識してくれるようだ。