Mozilla Flux

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バグに関する話題 090321版

最新版のShiretoko(3.5b4pre, ID:20090320052032)をベースに、近頃気になった修正について何点か触れておきたい。これらはすべて、Firefox 3.5 Beta 4に入るものだ。

一つ目は、"Bug 215405 - scroll position not remembered on pages with cache-control: no-store http header"で、一部のWebサイトにおいてページを戻ったときに、元のスクロール位置を記憶していないケースがあったのを、ちゃんと記憶するようにしたというものだ。

どんなサイトかというと、HTTPヘッダに「Cache-control: no-store」を含むサイトだ。RFC2616によれば、これを含んでいるとき、不揮発性記憶装置(non-volatile storage)は、情報を貯蔵してはいけない。早い話が、メモリキャッシュはOKだが、ディスクキャッシュはダメという場合である。以前はそういう指示をブラウザに送ってくるサイトで、スクロール位置がおかしくなっていた。

メモリキャッシュはOKなのだから、ページ情報がメモリに残っている間は、スクロール位置も保持すべきだ。というわけでこのバグが修正されて、問題は解決した。

二つ目は、"Bug 451151 - Search box In Places Organizer (Library) not behaving correctly"で、既に、やってMotors『Places 関連の変更 ~ Firefox Nightly』でとり上げられているため、ご存じの方もいらっしゃるだろう。「履歴とブックマークの管理」画面で、ブックマークの特定のフォルダを選択し、[Ctrl]+[F]キーを押して検索窓に移動すると、なぜか検索結果が履歴全体からのものになってしまうというバグである。その際、表示は「選択されているフォルダ」になっているのでちぐはくだ。

不思議なことに、同じようにフォルダを選択していても、検索窓をクリックしてフォーカスを移したときは、正常な検索結果になる。Bug 451151のパッチでこの差が解消された。

また、関連するバグとして、"Bug 469436 - In the context bar when searching in the library "selected folder" should be the actual folder name"がある。上に挙げた「選択されているフォルダ」ではわかりにくいので、実際のフォルダ名を表示しようというもの。en-US版のShiretokoでも日本語名のフォルダがちゃんと表示されているので、翻訳上の問題はそれほどなさそうだ。

ただ、これも前記やってMotorsの記事で言及されているけれども、フォルダを選択した状態で検索しているのに、デフォルトの検索結果は常にブックマーク全体からのものになってしまう。これはおかしい。最初の結果は、選択したフォルダ内を対象にしたものでないと。いろいろ修正を重ねていくうちに思わぬズレが生じてしまったのか。

三つ目は、about:sessionrestoreの文言を大きく変更する"Bug 476477 - Improve the wording of the about:sessionrestore page"である。クラッシュが二回続くと出てくるこの画面、これまでは謝罪の言葉とともに対策などが記載されていたのだが、冗長なので修正すべきとの意見が出て、それが採用された。何が原因で、どのような対処法があるのかを簡潔かつ効果的に伝えれば、それで充分だという。

比較してみよう。まずは旧画面から。

次に、新画面だとこう変わる。

簡潔になっただけでなく、文章のトーンも変わった。冒頭の文言から違う。"Would you like to restore your session?"に対し、"Well, this is embarassing."である。前者はFirefox 3.1 Beta 3で「前回終了時の状態を復元しますか?」と訳されていたが、後者をどうするかは悩ましい。ふつうに訳すと、「おっと、これは困りましたねぇ」みたいになるからだ。しかも、本文から謝罪の言葉も消えた。アメリカ人なら慇懃無礼よりもフランクな態度を好むとしても、日本人が見たらどう思うだろうか。ただ、Alex Faaborg氏のコメントによれば、ローカライズ担当者が自国の文化に合わせてよいらしいので、日本語版Firefox 3.5ではもう少し丁寧な表現になるかもしれない。

最後の四つ目として、"Bug 390734 - groupboxes need native theming on Windows"をとり上げる。オプション画面の区切り線などをWindowsのネイティブテーマに合わせるというもので、Vistaだと線の感じがかなり変わっている(上が旧で、下が新)。また、他の修正の影響もあり、縦長だった画面がやや圧縮された。