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続報:Firefox 3.1のタブ機能が使いやすく修正

新秀の介の日記」や「Scene Side B」で既報だが、昨日、Firefox 3.1のタブ機能に大きな修正が加えられた。最新のShiretoko Nightly(3.1b3pre, ID:20090123031537)ではこの修正が反映されている。近いうちにリリースされる予定のFirefox 3.1 Beta 3でも同様だ。なお、拡張機能への影響については「Latest topics」参照。

タブの分離

今回入った修正の概要は、「タブの分離を洗練させる」に書いたので繰り返さない。ここでは、実際に使ってみて気づいた点を記しておく(OSはVista 32bit版)。

まず、意図しないタブの切離しが起こらなくなったのは大きい。Firefox 3.1 Beta 2では、何かの拍子にタブをクリックしたところが、ドラッグ扱いになってタブが新規ウィンドウに移動してしまうことがよくあった。操作感をかなり損なうこの不具合が、ようやく消えた。そして、タブバー内での並べ替えもスムーズにいくように改善されている。

また、タブをブックマークツールバーにドロップすればショートカットが作成されるし、ブックマークサイドバー内のメニューにドロップすれば項目を追加してくれる。テキストフィールドにドロップしたときはURLがフィールド内に表示される。ユーザーが予期するとおりの挙動になってくれた。

これに対し、おやっと思ったのが、タブをコンテンツ領域(ページの表示領域)にドロップしたときの挙動だ。Beta 2では常にタブが分離されて新規ウィンドウに移ったが、Shiretokoではなぜかタブが分離されない。ちょっとややこしいのだが、ここにウィンドウAとウィンドウBがあり、Aにあるタブ1を移動させるとしよう。A内のコンテンツ領域にドロップした場合だと、タブ1は残ったまま、A内でタブ1が中途半端な形でコピーされる(タブ2が開く)。何が中途半端かというと、タブ1で現在表示しているページだけがタブ2にコピーされ、ページの履歴が反映されないのだ。言い換えると、タブ1は「戻る」ボタンでページを遡れるのに、新しくできたタブ2ではそれができない。

ウィンドウBのコンテンツ領域でドロップしたときはどうだろう。このときも、タブ1は分離されない。B内にタブ2ができるが、上と同じく中途半端なコピーだ。ところが、Aのタブ1をBのタブバーにドロップしたときは、タブがちゃんと切り離される。タブ1はBに移動し、履歴があれば「戻る」ボタンでページを遡ることができる。

どうにも腑に落ちない挙動だ。同一ウィンドウ内にドロップした場合はともかく、別ウィンドウのコンテンツ領域にドロップした場合は、タブが切り離されるべきだろう。もちろん、ページの履歴を保持した状態で。

そのほか、タブをデスクトップ上にドロップしたときは、現在のページのショートカットが作成される。このとき、移動元のタブは消えずに残る。パッチ作者が意図した挙動かとも思われたが、新しいバグとして扱われるようだ。ただし、優先度はP2なのでRC1での修正になる。

総じて使用感はかなり改善されたが、まだ修正の余地が残っている印象を受けた。RC1では直るだろうが、Beta 3後に入った修正でアドオン作者が混乱することがないように望みたい。

「新しいタブ」ボタン

おおむね「Firefox 3.1のタブ関連で新たな動き」でお伝えしたとおりの実装になった。やはり、最後のタブの右隣にボタンがあるほうが使いやすい。いちいちマウスを画面の右端まで動かさなくて済むからだ。また、Firefox 3でツールバーパレットから「新しいタブ」ボタンを用いてカスタマイズしていた人にも、新仕様は朗報だろう。

ただ、「ツールバーパレットからボタンを追加するとタブバーのボタンが隠れる仕様」は採用されなかった。Bugzillaのコメントを見ると、理想的な仕様ではなかったとのことで、Firefox 3.2でも採用の見通しはないらしい。が、3.2でタブバーがツールバー化する点を示唆しており、拡張機能やテーマで対応可能にするようだ。

加えて、上記「新秀の介の日記」の記事によれば、Linux版でこの修正が反映されていないという。全プラットフォームを対象とするパッチなので、Linux版だけ新仕様に変わらないとすれば、新たなバグが発生していることになる。

(09/01/29追記)
「新秀の介の日記」の該当記事で報じられたとおり、Linux版でボタンの位置が変わらないバグは、P2 Blockerとして登録された。Firefox 3.1正式版では修正される。なお、デフォルトのテーマでだけこの不具合が発生するとの報告もある。

(09/02/13追記)
「新秀の介の日記」の該当記事で報じられたとおり、Linux版でボタンの位置が変わらないバグは修正された。また、タブを別ウィンドウに移動した際にファビコンが消えてしまう問題(Bug 449730)も解消した。

(09/02/21追記)
最新のShiretoko Nightly(3.1b3pre, ID:20090220045636)では、タブをブラウザウィンドウの外、つまりデスクトップ上にドロップしたときは、タブが分離され、新しいウィンドウが現れるようになった(Bug 475066)。デスクトップ上にURLのショートカットを作成したいときは、ロケーションバーのファビコンをドラッグ&ドロップすればよい。

(09/02/28追記)
Shiretoko(3.1b3pre, ID:20090227033431)にタブの分離を取り消す機能が入った。タブをドラッグ中にESCキーを押せばキャンセルできる。