Mozilla Flux

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MozillaはMicrosoft Edgeに拡張機能のサポートが追加される時期を知っているのかも(追記あり)

最初に、本記事は憶測に基づくものであることをお断りしておく。

以前の記事でも少し触れたが、Microsoftは、早くも2015年4月29日の時点で、Microsoft Edge(以下Edge)が将来的にFirefoxの拡張機能をサポートすると表明していた。これに対し、MozillaがWebExtensions関係のバグをBugzilla@Mozillaに登録し始めたのは、同年5月5日のようだ(Bug 1161828)。そして、同年8月21日、Mozilla自身のアナウンスによって、EdgeがサポートするFirefoxの拡張機能とは、WebExtensionsベースのものであることが明らかにされた。

この時系列は重要なことを示唆している。事柄が拡張機能のあり方を決めるという大きなものである以上、Microsoftが勝手に表明して、Mozillaが慌ててそれに追随することなどあり得ない。であれば、Microsoftは、MozillaがWebExtensionsに関する情報を一般に公開し始める前から、Mozillaの方針を知っていたと考えるしかないではないか。

互いにBlink互換の拡張機能APIを採用することで、あらかじめMicrosoftがMozillaと話をつけていたのだとすれば、反対にMozillaがMicrosoft側の採用時期を知っていても不思議はない。ここで、MozillaがWebExtensionsの実装を急いだことがヒントになる。Mozillaは、わずか1か月半ほどの開発期間でWebExtensionsの初期実装をFirefox Nightly 42にねじ込んだが(Bug 1175770)、上記アナウンスの書きぶりからすると、そのままプレビューリリースとしてFirefox 42のリリース版に投入するつもりらしい。Mozillaは、Firefox 42のリリースに合わせてFirefox(Android版およびiOS版を含む)やFirefox OSをアピールするキャンペーンを準備しており、いちおうそれに間に合わせたとの理屈はつけられる。だが、Pocketの統合などと比べると、一般ユーザーへの訴求力が弱いのは確かだ。なぜ、Mozillaは時期尚早とみられるような行動に出たのか。

Firefoxのリリース時期と、MicrosoftがEdgeに新機能を追加する時期(以下米国日付)に着目してみよう。Firefox 42のリリース予定日は2015年11月3日であり、Firefox 43のそれは同年12月15日となっている。他方、EdgeはWindows Updateを通じて新機能が追加されるので、月例アップデートの日(毎月第2火曜日)をみると、2015年11月10日および同年12月8日となっている。つまり、Firefox 42のリリースは、2015年11月のWindows Updateに先行するが、Firefox 43のリリースは、同年12月のWindows Updateに遅れる。なので、Microsoftが年内にEdgeで拡張機能を使えるようにし、かつその際にFirefoxの拡張機能もサポート済みだと発表しようとすれば、11月のFirefox 42のリリース時に、何らかの形でWebExtensions APIの実装が行われていないとまずいわけだ。Mozillaが、11月または12月のWindows UpdateでEdgeに拡張機能のサポートを追加するという、Microsoftの方針を知っていて動いているのだと仮定すれば、いろいろ辻褄が合ってくる。

以上、Mozillaの動きを中心に、Edgeが拡張機能をサポートする時期を予想してきた。11月10日と12月8日のどちらなのかについては決め手に欠けるけれども、米国で一番のかき入れ時であるクリスマス商戦が、感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日から始まることを思えば、Microsoftとしては、その前に大きな機能追加を済ませてWindows 10をアピールしたいはず。2015年11月10日がターゲットで、12月8日は開発が間に合わなかったときの予備とみるべきだろう。

(15/11/08追記)
Microsoftは、2015年11月中にWindows 10 "Threshold 2"と呼ばれる大型アップデートを提供するが、そこにEdgeの拡張機能サポートは含まれない。噂では、2016年夏リリースの大型アップデート"Redstone"がターゲットとなっているという。

筆者の予想は外れた。もっとも、10月下旬になって上記の情報が漏れ伝わってきたところをみると、当初はThreshold 2がターゲットであり、ギリギリまで開発を続けたが、間に合わなかったので先送りしたのではないか。仮にそうだとすると、Edgeの拡張機能サポートを2016年夏まで引き延ばす理由はない。Insider Previewのユーザーに先行提供されるのはもちろん、一般ユーザーにも月例アップデートで提供される可能性がある。

ちなみに、Mozillaは、10月中旬になって突如WebExtensions 1.0ということを言い始め、これまでの焦りっぷりが嘘のように腰を落ち着けてAPI開発に取り組むようになった。くどいようだが、偶然にしては動きが合いすぎているように思う。