Mozilla Flux

Mozilla関係の情報に特化したブログです。

Android版Firefoxでもアドオンを使おう(追記あり)

(16/04/08追記)
Android版Firefoxを設定と拡張機能でカスタマイズ - Mozilla Fluxで本記事の情報を更新した。

アドオン数・利用者ともに少ない現状

Firefoxとアドオンは、切っても切れない関係にある。豊富なアドオンの存在は、Firefoxの重要なアピールポイントだし、優れたアドオンを紹介する記事は、Firefox関係の記事の中でも定番といっていい。また、現にアドオンの利用率も非常に高く、2011年6月時点で既に85%のユーザーが何らかのアドオンを利用しているとされ、2014年5月末の調査でも、3個のアドオンを利用するユーザーの割合が最も高いとの結果が出ている。

ところが、話をAndroid版に限定すると、ずいぶんと様相が変わってしまう。2014年6月8日時点で、Mozilla Add-onsには、デスクトップ版Firefox用のアドオンが15カテゴリにのべ17,738個も登録されているのに対し、Android版Firefox用のアドオンは、10カテゴリにのべ236個しか登録されていない。上記の調査でも、少なくとも75%のユーザーはアドオンを全く利用していないことが判明している。デスクトップ版とAndroid版とでは、同じFirefoxでもいわば歴史の長さが違うため、大きな差がつくのも仕方のないところではあるが、それにしても寂しい状況だ。

設定で済ませられること

Android版Firefox用のアドオンが増えにくい理由として、スマートフォンのスクリーンサイズが小さく、もともとカスタマイズの余地が乏しいうえに、Firefox本体がカスタマイズ機能を強化しつつあることが挙げられるだろう。

たとえば、メニューの「設定」から「表示」を選択し、「タイトルバーをスクロールする」をオフにすると、ページをスクロールしてもタイトルバーが自動的に隠れなくなる(Firefox 28以降)。また、「設定」から「カスタマイズ」さらに「ホーム」と選択していくと、ホームパネルの項目の表示/非表示を調整できる(Firefox 29以降)。

以上のほか、選択したテキストの検索機能も、Firefox 28以降ではActionModeのアイコンから行える。つまり単語をいちいちアドレスバーにコピー&ペーストする必要がない。


期待できない自然増

待っていればAndroid版のアドオンはデスクトップ版のようにどんどん増えていくだろうか。残念ながらそうとはいえない。Android版Firefoxユーザーの相対的な少なさがネックになるからだ。

Mozillaが公開している"Are We Stable Yet?"というWebサイトでは、チャンネルごとのFirefoxのADI(Active Daily Installations)が、デスクトップ版とAndroid版に分かれて表示される。ADIという言葉は聞き慣れないと思うが、デスクトップ版とAndroid版を併用しているユーザーがいるのでインストール数と言っているだけで、アクティブユーザーの数に近いものと考えていい。

ADIは日によって変動するため、2014年5月25日から6月1日までの平均値を比較してみよう。下記の表のとおり、リリースチャンネル(正式版)におけるAndroid版Firefoxのインストール数は、デスクトップ版の約27分の1しかない。それでも、スマートフォン市場においてAndroid版Firefoxユーザーの占める割合が大きければ注目されるのだろうが、あいにく2013年末の時点で、世界中には16億台を優に超えるスマートフォンが存在するという。300万程度のインストール数ではインパクトに乏しい。

Firefox Desktop Fennec Android
ADI(Release) 83.57M 3.08M
ADI(Beta) 2.4M 66.43k

アドオンを提供しても手応えが乏しいとなれば、作者も苦労して作ろうという気にならないだろう。Android版のアドオンを増やすための抜本的な対策は、本体のユーザー数を増やすことだ。とはいえ、各社がしのぎを削る中、ユーザー数を伸ばすのは簡単なことではない。

そこで、既存のユーザーに積極的にアドオンを使ってもらうのが次善の策となる。Mozillaもそのことは理解しており、たとえば、Firefox 25以降、メニューの「アドオン」を選択すると表示されるアドオンマネージャから、Firefox for Android Add-onsのWebサイトへワンタッチで移動できるようになっている。

使えるアドオンを紹介

Mozillaコミュニティとしても、Android版のアドオンを積極的に紹介し、アピールしていくべきだろう。というわけで、いくつかのアドオンを紹介したい。どれも筆者が常用しているものだ。

Quick Gestures

Quick Gesturesは、一本指ジェスチャでFirefoxを操作できるようにするアドオンである。タブの切り替え、タブを閉じる、閉じたタブを開く、戻る/進む、フルスクリーンの切り替えなどが画面を一筆書きするだけでできるようになる。

ジェスチャと実行したい操作との関係をカスタマイズできる点が素晴らしい。アドオンマネージャから「Quick Gestures」を選択し、さらに「カスタマイズ」に進むと、設定の一覧が表示される。ここで、「UDLR」がそれぞれ「上(Up)下(Down)左(Left)右(Right)」に対応しているので、このアルファベット(大文字)を入力するとジェスチャの再定義ができるわけだ。ちなみに、筆者は、「前のタブ」と「次のタブ」そして「フルスクリーン」を削除し、「URD」に「閉じたタブを復元」を、「DLU」に「Firefoxを終了」 をそれぞれ割り当てている。

(14/11/20追記)
左手で操作する場合、「DRL」に「タブを閉じる」を割り当てると具合がいい。

片手だけでFirefoxをいろいろ操作できるのは本当に便利だ。慣れると手放せなくなる。


Adblock Plus

Adblock Plusは、おそらく説明不要だろうが、広告のフィルタリングを行うアドオンだ。フィルタ自体は別に登録する必要があり、デフォルトでインストールされているものは日本のWebサイト向けではないので、k2jpさんがメンテナンスしているABP Japanese Filtersを使う。

広告を表示しない分ページの読み込み完了が早くなるので、電波の強度が弱く、回線速度が出ない場合などに重宝する。

(14/12/07追記)
ABP Japanese Filtersの購読ページのアドレスが変更になっているため、本文のリンクを外した。もっとも、Android版Firefox 34とAdblock Plus 2.6.6との組み合わせではフィルタの追加自体ができなくなっている。この問題に対処した私家版も公開されているほどだ。

QuitNow

QuitNowは、メニューに「終了」の項目を追加するアドオンだ。Firefox 20以降、Android OS 4.0(Ice Cream Sandwich)以上の環境では、OSのガイドラインに従って「終了」の項目が出ないようになった("Firefox, Android and Quit Buttons"参照)が、これを復活させる。

メモリの管理はOSレベルで行うべきもの、というFirefox本体側のコンセプトは分かるが、やはりユーザーとしては明示的にアプリを終了させる手段を残しておきたい。そうしたニーズにぴったりの、単機能かつ軽量のアドオンである。


Undo Tab Menus

Undo Tab Menusは、メニューに「閉じたタブを開く」や「すべてのタブを更新」などの項目を追加するアドオン。追加する項目は設定ページで調整できるので、筆者は「閉じたタブを開く」だけにしている。

タブのアンドゥ機能はFirefox 32で導入される予定(Bug 701725)だが、任意のタイミングでアンドゥができるという意味で、本アドオンの使い道は残るように思う。なお、複数の閉じたタブを復元する場合、設定値の変更が必要である。

(14/12/07追記)
URLを若干修正。また、Android版Firefox 34とUndo Tab Menus 0.1.4との組み合わせでは機能しないようだ。新バージョンの提供が待たれる。

NextPage for mobile

NextPage for mobileは、メニューに「Prev Page」と「Next Page」の項目を追加するアドオン。項目をタッチすると前後のWebページに移動できる。

一つの記事を複数のページに分割している商業サイトは多い。PC向けのユーザーインターフェイス(UI)だと、ページを移動しようにもタッチする領域がほとんどないようなケースに遭遇する。最近はスマートフォン用のUIを提供しているところも増えてきたが、下手をするとそれでさえも次ページへの移動が難しいときがある。本アドオンは、そんな場面で役に立つ。