Mozilla Flux

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Thunderbird 3では署名の直接編集が可能に

Thunderbird 2までは、メールに署名を付けようとすると添付ファイルが必要だった。テキスト、HTML、画像と選べるが、ファイルを別に用意する手間がかかった。

Thunderbird 3では、署名の直接編集が可能になる(Bug 324495 - put signature editing in UI (rather than select a file))。ユーザーインターフェイスはごくシンプルなもので、扱える署名も一つだけだが、HTMLはサポートしている。

添付ファイルによる署名との関係だが、ファイルを指定したときは、そちらが優先される。この仕組みを使えば、クリック一つで二つの署名を切り替えることが可能だ。もちろん、使い勝手ではアドオンを導入した場合に及ばないが、標準機能が便利になるのはうれしい。

View Certificateのボタンが押せない

SSL/EV SSL対応のWebサイト(たとえばMozillaWiki)でページ情報を表示させ、「セキュリティ」ペインに移動する。ロケールがen-USのときは、「View Certificate」というボタンがあるので、それをクリックすると認証に用いられた証明書に関するデータが示される。これがふつうの流れだ。

ところが、最新のShiretoko(3.5b4pre, ID:20090407052755)では、このボタンがあるべき位置からずれ、しかもクリックできない。セーフモードで起動しても同じだ。念のためMinefield(3.6a1pre, ID:20090407095250)のセーフモードも試してみたが、やはりボタンの位置がずれていて、クリックもできない。Firefox 3.1 Beta 3(日本語版)ではクリックまでちゃんとできるので、筆者の環境のせいではなく、Shiretoko/Minefieldのバグではないだろうか。

Bugzilla@Mozillaで「View Certificate」をキーワードにして調べたが、該当するバグは見当たらなかった。最近入った修正によるリグレッションだろうから、そのうちフォーラムかどこかで報告が出ると思う。

(09/04/09追記)
コメント欄に多くの方が情報を寄せてくださり、原因が判明した。日本語版Windows Vistaと英語版Firefoxの組み合わせで、デフォルトでは文字がはみ出す現象が発生していた。ボタンが押せないのもその影響だった。Shiretoko 3.5b4preに入った修正も、この現象に一枚噛んでいたようだ。

パネルのサイズを調節すると、表示が正常になって、「View Certificate」のボタンも押せるようになる。デフォルト設定で起きる問題だから、プロファイルを新しくするとか、セーフモードで起動するといった手ではダメだったわけだ。そして、日本語版Vistaとの組み合わせで起きる問題だから、海外のフォーラムでは報告がなくて当然だ。

では、バグではないのかというと、それも違う気がする。たとえば、パネルを縮小してボタンの一部だけを表示させた場合を見てみよう。この状態でも、「View Cookies」と「View Saved Passwords」のボタンは押せるが、「View Certificate」は押せない。つまり”Web Site Identity”の欄が下に潜り込んでいるので、操作を受け付けなくなっている。これは、技術的な詳細はともかく、ユーザビリティという点ではおかしい。表示された領域はそのままに、パネルを縮小するとその分だけ隠れていくべきで、押せるボタンと押せないボタンがあるのは不自然だ。

Firefoxをインストールする際のネックは?

Mozillaは、Firefoxのユーザーを増やすためにさまざまな努力を行っているが、その方向性を見定めるためには、Firefoxの利用を阻害する要因を探ることが重要だ。Webサイトのユーザーインターフェイスを改良して、インストーラのダウンロードをスムーズに行えるようにする取り組みは、これまでも紹介してきた。今回は、ダウンロード後、それを実際にインストールしてもらうための研究を取り上げよう。

Mozillaは、最近一つのテストを行った。ユーザーがフィードバックを返せるようにする特殊なインストーラ(en-US版)を用意し、一日だけ配布する。フィードバック用プログラムは、ユーザーがインストーラを起動後、インストールを完了するまでの間に中止した場合にのみ起動する。そして、ダウンロードは完了したが、インストールは完了しなかった5万人を母集団として、ユーザーの反応を確かめる。

興味深いことに、キャンセルボタンを押したユーザーはおよそ1万人でしかなかった。インストール未了者5万人の中の話である。残り4万人はインストーラを起動すらしなかった、あるいはできなかったわけだ。だが、これらのユーザーにはインストーラの改良では対処できないため、別の機会にもっと突っ込んだ調査が必要である。

当面の課題は、インストーラの改良で対処できる部分をどうするかだ。そのためには、ユーザーの生の声を聞くことが大事になってくる。Mozillaによれば、フィードバックのフォームにアクセスした人が約5000人で、寄せられたフィードバックは330件だった。

フィードバックを分析した結果、二つの問題点が浮かび上がってきた。「Firefoxを閉じる際の混乱(42%)」と「ディレクトリにアクセスする権限(41%)」がそれで、合わせて八割以上を占めている。

より原因に近づけて整理するとこうなる。

  • Firefoxがクリーンな形で終了していない(たとえばゾンビプロセス)
  • 管理者権限のないユーザーにおけるディレクトリ位置の問題

問題の所在がこれではっきりした。対策はこれから検討されることになるが、なかなか難しそうだ。どちらもOS絡みの問題である。前者は、残存するFirefoxのプロセスをインストーラが消去できればいいのだが、簡単に消去できないような状態になっているからこそユーザーが躓くのだとも考えられる。後者については、Google ChromeのようにVistaのユーザーアカウント制御(UAC)に引っかからない場所にインストールするという手もあるが、その変更はFirefoxにとって大きな決断となるだろう。

効果は薄くなるが、簡単な手としては、キャンセルしたユーザーにメッセージを出すという方法がある。「インストールがうまくいきませんでしたか?」と表題を付けて、その後に、上に挙げた二つの問題について説明するわけだ。残存プロセスの問題では、OSの再起動を促すのが手っ取り早い。権限の問題については、ヘルプを用意して別のWebブラウザで見てもらう。多少は状況が改善するはずだ。